『はじまり』



う〜〜〜ん・・・

「?」
「ああ、ナミ・・・」
「何考え込んでんのよ、似合わないわよ。」

・・・何気に失礼だよな、こいつは・・・

「別に考え込んでたわけじゃないよ、思い出してただけ。」
「何を?」
「私達のはじまりを。」
「・・・はじまり?」
「そう、はじまり・・・」










赤髪海賊団とのはじまりは、この世界とのはじまりと同じ。

彼らの中に落ちてきた、あの瞬間から始まってた。でも・・・










そこまで考えて、ナミをじっと見つめると、

「な、何よ・・・」

思いっきり身体が逃げてるよ・・・そして、そのまま視線を・・・

ゾロは船尾でトレーニング中。

ウソップは甲板で何やら作ってて、

それをチョッパーが眺めてる。

サンジはキッチンで仕込み中。

ロビンは優雅に読書してて、

いつもの特等席にルフィの姿。

こいつらとのはじまりって・・・どこからなんだろう・・・
















「で、・・・一体何だったのよ?」
「は?」

相変わらず美味しい夕食後、今日は誰も出て行かないんだなぁ〜とか思ってたら、
ナミの発言に、全員の視線が私に集まる。

な、何なのよ・・・

「『はじまり』って何だ?」

ルフィが首を傾げて聞いてくる。

「・・・は?」
「昼間ナミと話してたじゃねぇか。」
「ああ!」

ゾロの言葉にポンと頷き・・・どんな地獄耳だよ、お前ら・・・





「別に大した事じゃないのよ。」
「ああ〜でも、俺はちゃんの考えてる事なら、何でも知りたい!」

・・・はいはい・・・

「「「 で!何なんだ? 」」」

ルフィ、ウソップ、チョッパーが興味津々って顔して見つめてくる。

「私との『はじまり』はジャヤね。」
「ロビン?」
「貴女が私に話してくれて、それを私が信じたあの瞬間だと思うわ。」

ああ・・・あの時か・・・

「「「 それ何だ? 」」」

目をキラキラさせて見つめてくるお子様3人組は放っといて、

「確かにあの時からはじまったんだよね、私達は。」
「ええ。」

ロビンとこんな風に穏やかな時間を持てるようになったのは、あの時からか、じゃあ・・・

「ずりぃぞ!2人だけ分かってるなんて!!!」
「そうだ、そうだ!ずりぃぞ!」

・・・うるせぇよ、このお子様コンビは・・・

「そういう意味ね。」
「なるほど・・・つまり、俺がナノハナで声を掛けたあの時か。」
「ルフィが引っ張り上げたあの時かって事か。」
「まぁね。」

「何だよ・・・お前らも分かったのかよ・・・」

・・・拗ねるなよ、ウソップ・・・





ただね、仲間としての私達の『はじまり』って何時だろうって思っただけ。

赤髪海賊団の皆は最初から仲間だったけど、ルフィ達は違うと思うから。

「な〜んだ、そういう事かぁ。」

チョッパーが『やっと分かった』って顔をする横で、

「俺様は最初から分かってたぞ!」
「ウソップすげぇ!」

・・・うそつけ・・・





「私的には、ナノハナね。」
「ナミさん!やっぱりそうですよね〜俺が!ちゃんを見つけて声を掛けたあの瞬間ですよね!」
「・・・別にそういう意味じゃないけど。」

ナミの冷たい一言にサンジが項垂れる・・・が、すぐに復活。

「俺があのナノハナでちゃんの可愛い後ろ姿を見つけた時の、あの全身が痺れるような・・・・・」

あ〜・・・話がズレてきた上に長くなりそうなので、サンジは後回しにしよう。
ってか、サンジもナノハナの時って事だよね。

「ゾロは?」
「・・・・・」

・・・真剣に悩んでるよ・・・そこまで悩むような事か?

あっ!もしかして・・・ゾロは私の事を仲間だと思ってない・・・って事はないな。

「おら、クソマリモ!とっとと言わねぇか!」
「うるせぇんだよ!」
「んだとぉ!」

「やかましい!」

「「 はい・・・ 」」

「・・・も恐ぇ・・・」
「おう・・・」





「俺は、海の上で会った時だな。」
「え?」

ウソップ?

「『親父を超えろよ』って笑ってくれたあの時からだ。」

少し照れ臭そうに笑うウソップ。
まだまだ親父は遠いけど、きっと超えられるよ君ならね。

「俺はナノハナだと思う。多分・・・」

チョッパー・・・多分って・・・










「何言ってんだ、お前ら?」

その声に全員がルフィの方を見る。
そういえば、さっきから全然喋ってなかったな。ずっと首を傾げながら皆の話を聞いてた。

・・・何を言い出すつもりなんだ、このキャプテンは・・・?

「そんなの、海で初めて会った時からに決まってんじゃねぇか。」



だぁ・・・



「あんたねぇ・・・」
「こんのクソゴム・・・」
「おめぇは人の話を聞いてねぇのか。」
「まぁルフィだしな。」
「そうだよな。」
「ふふ。」





「シャンクスの旗だと思って、ワクワクしながら近付いてったんだ。」

・・・ルフィ?

その時を思い出してるのか、すっご〜く楽しそうだ。

「そこで、を見つけた。」
「うん。」
「そん時、俺思ったんだ。」
「何を?」
「俺、こいつが欲しい!絶対仲間にする!」

ちょっと待てルフィ!あの時の私は、赤髪海賊団の船に乗ってたんだぞ。

「だから、あの時からだ。」
「え?」
「海で初めて会ったあの瞬間から、俺達は始まったんだ。」
「ルフィ・・・」
「しししし。」

皆と顔を見合わせ、苦笑しながら肩を竦める。

ああやっぱり・・・このキャプテンには適わない。どうやっても勝てない。
バラバラだったはずのはじまった瞬間が、今完全に重なった。ロビンでさえも・・・



『出会った瞬間から、全てはじまっている』

という結論に。



そうか・・・私にとっての麦わら海賊団との『はじまり』は、きっとあの時だ。
皆が臨戦態勢に入っていた中で見つけた、

『メリーの頭の上に座ったルフィ』

あの姿をこの目で捉えた瞬間が、きっと『はじまり』だったんだ。
シャンクス達の腕の中から飛び出して、自分の足で歩き始めた。
そして今もなお、歩き続けている、この仲間達と一緒に。










そういえば・・・

「ゾロは何をあんなに悩んでいたわけ?」
「あ?」

『あ?』じゃなくて・・・ってか、それが返事なのか?

「いつからがはじまりかってヤツ。」
「ああ・・・俺もナノハナかと思ったんだが・・・」
「ん?」
「それにしちゃあ、何の躊躇もなくすんなり受け入れてたからな。」
「ああ、なるほどね。」

確かにあのナノハナで、一緒にいる事に何の違和感も感じなかったな。

「まぁ、あの時には既に始まってたんだから、当然だがな。」

ニヤッと笑うゾロに『なるほど』と頷く私。
私にとっても、既に始まっていたから違和感がなかったんだ。





何も分かっていないようで、1番大切な事は誰よりも知っている船長。
そんな船長に『欲しい』と思われた自分を、今はただ誇りに思いたい。

例えこの先その事が、自分にとって辛い結果を招いたとしても、今だけは・・・