『かくれんぼ』



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何だこりゃ・・・




「何やってんだ、?」
「あ、ヤソップ・・・これ、何?」

近付きながら声を掛けてきたヤソップを見ながら、目の前の物体を指差す。

「何って・・・樽、だよなぁ・・・」
「・・・だよねぇ・・・」

私の目の前には、何処にこんなに仕舞い込んでたんだぁ!って言いたくなる程の、



樽 たる タル 樽 たる タル



「私の知らない一瞬の間に、島に立ち寄ったとか・・・?」
「んなわけあるか!」

あ、やっぱり?

「敵襲もなかったよね?」
「ねぇな。」
「船中の樽を虫干し中?」
「・・・・・・」

んな呆れた顔して見なくてもいいじゃないかぁ!





「2人とも何してんだ?」
「あっ、ルウ!」
「よぉ。」

相変わらず片手に肉持って、ゆっくり近付いてくるルウ。
普段はこんなのんびりしてるくせに、いざ戦闘となったら誰よりも素早い男。
ど〜して、こんな身体であんなに動けるんだろう・・・とか思うけど、元々の身体の造りが違うんだよ、絶対。

「ねぇ、これって何?」
「あ?・・・樽だろ。」

んな事は見れば分かるっちゅうの!

「何でこんな所に出してんの?」
「知らねぇ。」

ふ〜ん・・・ルウも知らないのかぁ・・・って事は、下っ端達が出したのか、それとも・・・

あのきまぐれオヤジの差し金か・・・





「・・・何か言ったか?」
「うわぁ!シャンクス!?」

人の心の声まで聞き取ろうとするなぁ!!!

「この樽・・・何でこんなに甲板に出てんの?」
「俺が知るか!」
「えぇっ!?」

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「・・・」

「・・はい。」

「その驚きようは、どういう意味だ?」

「えっと・・・」

こういう事を、1番やりそうだと思ってたから・・・なんて、やっぱり言わない方がいいよね。
まぁ、分かってるだろうけど・・・

「でもこれどうしたんだろ。結構邪魔だよね。」
「話逸らしやがったな。」
「うっ・・・」

『しょうがねぇな』って感じに私の頭をくしゃっと撫で、前方の樽を見るシャンクス。
シャンクスが知らないって事は、ベックマンなのかなぁ。
まぁ、ベックマンがやってる場合、シャンクスと違って意味があるんだろうけど。

「かくれんぼでもしようと思ったんじゃねぇか?」





・・・誰がだよ・・・





「・・・・・は?」
「聞こえなかったか?」

いや・・・聞こえたんだけど・・・自分の耳を思わず疑っちゃったんだよ。
今、何って言いました、大頭?

「、お前こん中の1つに隠れろ。」
「・・・何でよ。」
「決まってんじゃねぇか。」

・・・楽しそうですね、新しいオモチャ発見ですか?
ってか、何でこんなに甲板に人が集まってんのよ!皆、そんなにヒマなのか!?



「が隠れてる樽を見つける。お手つきは3回までな。」

ヤソップ・・・あんたまで・・・

「最後まで見つけられなかった奴は、当然バツゲームだぞー!」

ルウ・・・

お願いだから・・・私を巻き込むなぁ!!!










なんて叫んでみたところで、こいつら相手に状況が変るはずもなく。

ど〜して、私が隠れなきゃいけないのよ、探す方なら面白そうだけど・・・

隠れてる方なんて、つまんないよ〜〜〜





しっかし・・・この樽・・・酒くさぁ・・・





いくらフタをしてないって言っても、長時間酒が入っていたであろうこの樽には、
どうしようもなく臭いがしみついてる。

ここから出たら、私も酒くさいのかなぁ・・・





「おっ!」

「ん?・・・あっ・・・」

1番最初に私を見つけたのは、やっぱりシャンクス。
大きな手が私を樽の中から引っ張り出して、片手で軽々抱き上げる。

『お〜〜〜!』なんて歓声まで上がって・・・何なんだ一体・・・

「やっぱりお頭には適わねぇ。」
「すげぇよなぁ。」
「流石だぜ。」

・・・どういう反応なわけ?

「。」
「あ、ベックマン。」

私をシャンクスから受け取り、そのまま下へと下ろしてくれる。
その時に、再び上がる歓声。

「どういう反応なわけ、これは?」
「ああ・・・」

苦笑するベックマンに、首を傾げる私。ついでに、ニヤニヤ笑ってるシャンクス。










「何よそれ!」

「俺に言うな。」

「じゃあ他の誰に言うのよ。」

「お頭に言え。」

「言ったって無駄じゃない・・・」

「・・・まぁな。」

「ベックマン・・・」

「諦めろ。」










船の上、何もない時はかなりヒマなのだ。
上の連中は問題ないが、下っ端連中はそうもいかない。時々士気を上げる必要があるのだ。

「いざって時に使いもんにならねぇんじゃ、意味がねぇからな。」
「それは分かるけど・・・どうして私まで巻き込むのさ。」
「そりゃあ・・・」



「お前が1番士気を上げるからな。」



シャンクスの部屋で、ニヤニヤ笑いながら何も言わないシャンクスを睨みながら、
ベックマンに食って掛かってたら、入口から声がした。

「ヤソップ・・・ルウ・・・あんた達も知ってたわけ、この茶番を?」
「いや・・・途中で気付いたがな。」
「皆が楽しかったんだからいいじゃねぇか。」
「私は楽しくな〜い!身体中酒くさいし・・・」

「「「「 そうか? 」」」」

・・・こいつら・・・










つまり、あの樽はやっぱりシャンクスの仕業だったのよ。
しかも、大きさ、中に入ってた物、配置まで全てシャンクスの指示。
私が隠れてた樽は、大きな樽の死角になってて、皆からは見えなかったの。
だから、誰にも見つからなかった。

じゃあ、どうしてシャンクスには分かったのか・・・

それは、シャンクスは私が隠れてる樽を最初から知ってたから。
つまり、それに隠れるように仕向けたから。

まず大きさ、1人で隠れなきゃいけなかったから、手の届かない大きな樽はまず却下。

次に中に入ってた物。匂いって結構残るんだよね、だから・・・
中に入る事が出来ないくらい、臭い樽は当然却下。

んで、消去法でいくと・・・私が隠れられる樽は1つしかなかったの。
そして、誰にも見つけられなかった私を、それまで黙って見ていたシャンクスが一発で当てる。

ついでに、私を抱き上げたのも、演出の1つ。

大頭の腕の中にいる私を見て、『大頭はすげぇ!』と士気が上がる。
とまぁ、こういう事だったのよ。

・・・単純だよねぇ・・・





「先に言っといてくれたら良かったのに・・・」
「んな事したらお前は、意地でも違う樽に隠れただろうが。」
「ああ・・・」

確かに・・・やりかねない・・・

「それにな・・・」
「ん?」

私を見て、フッと優しく笑うシャンクス。な、何?

「何でもねぇ。」

ちょっと・・・そこでやめられると、すっごく気になるんですけど・・・

「次はお頭の役、俺がやりてぇな。」
「は?」

ベックマン?

「あっ、俺もやりてぇ!」
「お〜いいねぇ〜俺もやりたいぜ。」

「・・・誰にも譲らねぇよ。」

4人の男が顔を見合わせニヤリと笑い合う。
なんかズルイ・・・私だけ仲間外れだ。
でも、こういうこの人達の雰囲気はかなり好きだったりするんだよね。





シャンクスの部屋からの帰り道、ヤソップがこっそり教えてくれた。

皆が『やりたい』と言い、シャンクスが『譲れない』と言ったその役とは、

『誰にも見つけられないお前を、ただ1人見つける役』つまり、

『を手に入れる男の役』だと・・・