【 Happy Birthday 】





さてと・・・そろそろ寝ようかな。
こいつらの宴会に付き合ってたら、夜が明けてしまう。

あれっ・・・シャンクス達はいるのに、ベックマンの姿が見えない。
何処行ったのかな。


部屋・・・かな?


『おやすみの挨拶』だけはしとかないと、酔って海に落ちたんじゃないかと大騒ぎになるからな。



・・・何しろ、前科がある・・・



本当に、ここまで過保護な海賊団なんて、他にはないんじゃないか?










「シャンクス、そろそろ寝るね。」
「おう。」
「おやすみ〜」

その場に居た連中に手を振り・・・・・ベックマンは、部屋を覗いて居なかったら、そのまま寝てしまおう。










コンコン

「何だ?」

ありゃ、居た。

「そろそろ寝ようと思って・・・何してんの?」

机に向かっていたらしい・・・ってか、何か書いてたみたい。

「航海日誌だ。」
「ベックマンが書いてんの!?」
「他に誰が書く?」

一瞬、シャンクスの顔が浮かんだけど、すぐにその上に×印が付いた。



・・・絶対にありえない・・・



確かに、他に書きそうな人はいないなぁ・・・
そういえば、ルフィんトコでも、航海日誌を書いてるのはナミだっけ。
普通は、船長が書くものじゃないのか?





何気なく、その航海日誌を覗き込む。



・・・・・ん?



何だ?何か引っ掛ったぞ?



ん〜〜〜?



あっ!



「ねぇ、ベックマン。」

私の声に、顔だけを上げ先を促す。その手元の1ヶ所を指差し、

「これって・・・日付?」
「ああ。」
「何時の?」
「今日だが?」

訝しげなベックマンの視線に気付いてるけど、今はそれどころじゃない。
これが今日って事は・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「どうした、?」
「明日・・・誕生日だ。」
「・・・・・何?」
「明日、私の誕生日みたい。」





バタンッ!!!



ほえ!?



・・・びっくりした・・・





ベックマンが部屋を飛び出して行った。あんなに慌てた姿って初めて見たなぁ。

うん、珍しいもん見た。





ド ダ ダ ダ ダ ダ ッ ! ! ! ! !





っ!?

凄い地響きがする・・・今度は何事!?

〜〜〜!!!」
「は、はい!???」

な、何なの〜???

部屋の入口の所には、シャンクスを筆頭にベックマン、ルウ、ヤソップと・・・その他大勢。
な、何か・・・顔が恐いんですけど・・・皆さん、怒ってます?

「てめぇ!何で黙ってた!」



・・・何を?



思わず逃げ腰になってる私の腕を掴み、シャンクスが怒鳴るけど

・・・意味が分からないんですけど・・・

小首を傾げて見上げる私に、大きく深呼吸をして少し落ち着いたシャンクスが、

「明日、誕生日なんだろ、何で黙ってた?」

ああ!その事かぁ・・・って、今の場合それしかないよね。
シャンクス達が脅かすから、すっかり頭から抜けちゃってたじゃないか!

「だって、気付かなかったんだもん。」
「・・・自分の誕生日をか?」

今度はベックマン・・・ってか、ベックマンも怒ってる?微妙に恐いんですけど・・・





でもさぁ、いくら自分の誕生日だって言っても、ここはグランドライン。
季節なんて、全く分からないじゃないか。

夏島とか、冬島とかの季節はあっても、それはあくまでも島の季節であって、時候じゃない。

だから、いくら自分の誕生日の季節であっても、それを結びつける事は出来ないって言うか、しない。

そもそも、私が落ちてきた時の日付を知らないのに、どうやって計算するのよ。
今、ベックマンの航海日誌を覗き込まなきゃ、気付かないまま終わってるよ、確実に。





そう言うと、何とか皆納得してくれたみたい。

「変な遠慮してるわけじゃねぇな?」

シャンクスに、顔を覗き込まれながら言われて、こっちも漸く納得した。
そうか・・・そういう事か・・・だから皆怒ってたんだ・・・この、過保護海賊団の連中は・・・

「遠慮してんだったら、過ぎてから言うか、言わないよ。」
「まぁ、確かにそうだな。」

そう言ってニカッと笑ってくれる。私が大好きな笑顔だ。
他の皆も優しい顔して笑ってる。この雰囲気が、1番の誕生日プレゼントだよな〜

「おっと、もう0時過ぎてんじゃねぇか、、誕生日おめでとう。」

・・・シャンクス・・・

「ありがとう。」

、おめでとう。」

ポンと頭に手を置かれて見上げると、ベックマンの笑顔。

「ありがと。」





、おめでとう。』『誕生日おめでとう。』『おめでとう。』と、皆に口々に言われて、
嬉しいやら、照れるやら。

何だか目にジワッと熱いものが上がってくる。皆・・・本当にありがとう。大好きだよ!

、おめでとうさん。」

ヤソップ・・・

「で、いくつになったんだ?」

だぁ!!!ほっとけ!!!





「よ〜しっ!今から明日の0時まで、の誕生パーティだぁ!!!」
「ゲッ!」
「野郎ども!潰れるまで飲め!潰れても飲め!飲んでを祝え!!!」



「「「「「「「「「「 お う ! ! ! 」」」」」」」」」」



・・・つまり、私も寝かせてはもらえないのですね?

「あ〜シャンクス、当然私は・・・」
「最後まで付き合え。お前が主役だろうが。」

・・・やっぱり・・・

いつもの宴会に、理由がついただけじゃないのか〜?とは思うけど、私も嬉しいし、まぁいいか。

あっそうだ・・・コックのおっちゃんは・・・居た!

「コックのおっちゃん!」
「おお、。おめでとうな。」
「ありがと!それでね、お願いがあるんだけど・・・」
「何だ?」
「ケーキ作って欲しい。」
「ケーキ?」

だって、ここは男ばっかりの赤髪海賊団。ケーキなんて殆ど食べた事ない。
でも、今日くらいは我侭を聞いてほしい。

「よしっ!それじゃ、最高に美味いのを作ってやる!」
「わ〜い♪嬉しい、ありがとう!」

厨房へと戻って行くおっちゃん。ツマミの類いは、兄ちゃん達に任せてしまうんだろう。
大変だろうけど、頑張れ〜!










「おい、。」

呼ばれて振り向くと、シャンクス、ベックマン、ルウ、ヤソップ。

・・・何?

「次の島に着くまでに、欲しいもん考えとけ。」
「え?」
「買ってやるよ。」
「それぞれだからな。」
「ちゃんと、4つ考えとけよ。」

皆・・・ありがとう・・・

「分かった、考えとく。」
「よし!」

頷いた私の頭をくしゃっと撫で、宴会へと戻って行く。
その後ろ姿を見ながらつくづく思う。私・・・皆に会えて良かった。



私にとって、今日の誕生日が今までで、1番嬉しくて心に残ると思う。

、誕生日おめでとう。』その声が、何度も聞こえる。

は今、とても幸せです。最高の誕生日をありがとう、赤髪海賊団の皆・・・