【 1番欲しいモノ 】





「おっはよ〜!」

目が覚めたら、ナミもロビンも居なくて、キッチンに顔を出してみる。

「おはよう、ちゃんvvv」
「おはよう、。」
「・・・・・」

中には、サンジ、ナミ、ゾロが居たんだけど・・・ゾロ起きてる?

でも、この中にルフィの姿が見えないと言う事は・・・もしかして・・・

「私・・・朝食、食いっぱぐれた?」
「大丈夫!ちゃんの分は、ちゃんと取ってあるよ。」

そう言いながら、サンジがナミの横に座った私の前に、料理を並べてくれる。

「良かった〜!ありがとう、サンジ。」
「当然だろ。」

ルフィが食べた後って、基本的に何も残ってないから・・・良かった・・・










「あれ、ナミ何書いてんの?」
「航海日誌。」
「何時の?」
「昨日の。」
「ん?」

ナミは、いつもその日の夜に必ず書いてるのに・・・あ、そっか、
昨夜はいきなり宴会が始まって、飲んでそのまま寝ちゃったんだっけ。
それで今、書いてるわけね。





「ねぇ、今日って何月何日なの?」
「5月4日よ。」
「ふ〜ん・・・」

ん?5月4日?・・・・・何か引っ掛かるぞ?

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5月4日・・・明日は5月5日・・・



「ああっ!!!」



「え、何?」
ちゃん?!」
「っ?! !!! いってぇ!」

私の突然の大声に、ナミは弾かれたように顔を上げ、サンジは驚いて振り返り、
ゾロは・・・椅子から落ちた・・・

これって、私の所為?

「だ、大丈夫、ゾロ?」
「いきなり大声出すんじゃねぇよ!」
「ご、ごめん。」
ちゃんの所為じゃねぇだろ!てめぇがトロいんだろうが!」
「んだとう!」



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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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・・・・・また、始めやがった・・・・・





「それで、どうかしたの?」

喧嘩を始めた2人は完全に無視して、ナミが私に話し掛けてくる。

「うん、明日なんだけどね。」
「明日?」
「ルフィの誕生日だわ。」

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あ、あの・・・どうして沈黙が訪れるのですか・・・?
今まで喧嘩してたサンジとゾロまで、驚き顔で私を見てるのは・・・何故?

「何で・・・お前がルフィの誕生日なんて知ってんだ?」



へ?



ゾロの質問に、今度は私の方が驚く。
他の2人も、何も言わないって事は、同意見なわけ?

「私が何処から来たかは、話したよね?」
「ああ。」
「だったら、知っててもおかしくないと思わない?」
「・・・・・」

何でそこで黙っちまうんだ、ゾロ!

「それで・・・ルフィのだけ、知ってるの?」

はい?もしもし?ナミちゃん?
・・・何でそんな、拗ねた顔するかなぁ・・・










「ナミは、7月3日。」
「え?」
「サンジは、3月2日。」
「あ・・・」
「ゾロは、11月11日。」
「・・・・・」



「これでOK?納得?」



ニヤッと笑いながら3人の顔を見回せば、照れ臭そうに笑うナミと、
くるりと背中を向けるサンジと、プイッと顔を背けるゾロ。

あんた達・・・可愛いねぇ・・・

まあ、これがルフィの誕生日じゃなかったら、思い出さないかもしれない・・・
なんて事は、口がさけても言いません。










それから、ルフィの誕生日どうしようかって話になったんだけど、
何処かの街に寄る事も出来ないからって言うより、何処にも島が見えないから、
『パーティをしよう』って事になったの。



サンジは当然、料理担当!って事で、キッチンにて仕込み。
ロビン、ウソップ、チョッパーを巻き込んで、ナミと私は、女部屋で飾りつけの準備。
んで、全員が篭っちゃうと、ルフィが変に思うし、気にするだろうから、
ゾロには、ルフィの監視も兼ねて、何時もの様に甲板にて、トレーニング&昼寝。

そしてつくづく感じた事は・・・ウソップって本当に器用だわ。

まさか、クラッカーもどきまで作っちゃうとは、思わなかったわ・・・





「なあ、?」
「何?」
「これ・・・何時飾るんだ?」

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その問題が残ってたか・・・そうだなぁ・・・あっ!

「今夜の見張り当番って、誰?」
「私だけど?」

ふむ・・・ロビンね。なら、大丈夫だわ。

「今夜、やっちゃおう!」
「そうね・・・それ以外ないわね。」





そして、ルフィが眠った後、チョッパーをルフィの監視役として男部屋に残し、
私達は、キッチンへと集まり飾りつけ!ルフィの為に・・・ね!










「「「「「「「 Happy Birthday To Luffy! 」」」」」」










ウソップお手製のクラッカーで始まった、ルフィの誕生パーティは、
日が落ちた今も、まだ続いてる。

ルフィ、びっくりした顔してたけど、すっごく嬉しそうだった。
あの笑顔が見れただけで、良かったなって思う。



!・・・こんな所で何やってんだ?」

酔い覚ましに船首から、海を見ていた私の横に立って、首を傾げながら、
私の顔を覗き込んでるこの男は・・・どう見ても・・・

「ルフィ!?」

何やってるんだって・・・それはこっちのセリフだよ・・・

「今日の主役が、こんな所で何やってんのよ。」

私がそう言うと、ルフィは思いっきり拗ねたような顔をして、

「だってよ・・・お前いねぇから・・・」
「は?」
「昨日も見えねぇし・・・」

ルフィ?だんだん声が小さくなってる・・・こんなルフィ見た事ない・・・

「また・・・居なくなったのかと思った・・・」
「ルフィ・・・」





私は、元々赤髪海賊団の船に乗っていた。そこに落ちたから・・・
だから今までも、何度かあっちへ戻った事もあったけど、
挨拶もなしに、消えた事はなかったはずだけどなぁ・・・ふむ。

「ルフィは、私が居なくなるの、嫌?」
「いやだ!!!」

きっぱりと言い切ってくれるルフィに、顔がニヤケそうになる。



・・・ルフィ、本当に嬉しいんだよ・・・



私の方がプレゼント貰った気分だな。
今日はルフィの誕生日なのになぁ。

「じゃあ、何処にも行かない!」
「ホントか?」
「うん!」
「絶対だな?」
「絶対!」

私が頷きながら言うと、ルフィは最高の笑顔を見せてくれた。
何だか・・・私ばっかり貰ってる気がする・・・

「ねぇルフィ、何か欲しい物ない?」
「もう貰ったぞ!」
「は?」
「1番欲しかったモノを貰ったぞ!」

いつもの、『しししし』って笑いながら、私を見るけど何の事?
私、今日は何もあげてないけどなぁ・・・?

「じゃあ、他には?」

私がそう聞くと、ルフィはその場に座り込んで『う〜ん』と考え込む。
その横に私も座って、ルフィの答えを待つ。
一生懸命考えてるルフィが可愛くて、そして、ちょっと嬉しい。





「なぁ・・・本当に貰ってもいいのか?」

何かを思い付いたらしく、ルフィが私の顔を覗き込んでくる。

「うん、いいよ。何?」
「じゃあ、目をつぶっててくれ!」
「はぁ?」
「ほら、早く!!!」
「う、うん・・・?」

ルフィに急かされて、目を閉じると、少しして唇に温かい感触が・・・・・こ、これって!?
驚いて目を開けると、案の定、至近距離にルフィの顔!

ゆっくりと唇が離れ、目の前には『しししし』と嬉しそうに笑ってるルフィ。

「ルフィ!!!」
「俺が、2番目に欲しかったもんだ!」



・・・・・脱力・・・・・



そういえば、1番欲しかった物って何だったんだろ?
そう思って、本人に聞いたら、真っ直ぐ私を指す人差し指・・・はい?

!」
「は?」
「俺が1番欲しかったもんだ!」
「はぁ???」
は、ずっと俺の傍に居てくれんだろ?」

にっこり笑われて、思わず顔が赤くなる。

こいつ・・・絶対に確信犯だ・・・









「なぁ・・・来年の誕生日にも、今のプレゼントくれるか?」
後ろから抱き締めながら聞いてくるルフィに、ちょっと悪戯心が・・・
「ふ〜ん、来年の誕生日まで、いらないんだ。」
笑いながらそう言うと、思いっきり首を横に振りながら、
「今の無し!俺へのプレゼントは・・・これから毎日キスする事だ!」
「毎日〜〜〜?!」
「おう!」

早まったかな〜?とも思ったけど、本当に嬉しそうに笑ってるルフィを見てると、
『ま、いっか』って思っちゃう。惚れた弱味かしら・・・とにかく、

誕生日おめでとう、ルフィ。大好きよ!

これからも、ずっと一緒にいようね!