【 空島編 @ 】





「・・・行ってらっしゃい・・・」



泣いちゃダメだよ・・・笑顔で送らなきゃ・・・



そう思うのに、涙が溢れそうになる。『やっぱり連れて行って!』と叫びそうになる。

・・・ルフィ?

ふと目が合ったルフィは、真剣な表情。さっきまで笑ってたのに?

そして、1人で納得したように頷いて、ニカッと笑った・・・

・・・何だか、と〜っても・・・非常に・・・嫌な予感が・・・するのですが・・・





「うわっ!?」

やっぱり〜〜〜!!!

いきなり伸びてきたルフィの手が、私の腕を掴んで・・・・・

の1本釣り〜♪」

私は魚かい!





当然、私の身体はゴーイングメリー号の中。
呆然とルフィと私を見つめる、他のクルー達。

「ルフィ!私は一緒に行けないって言ったでしょ!」
「言ったな。」

おい・・・しかも、笑顔で返しやがった・・・

「ルフィだって、ちゃんと納得してくれたじゃない!」
「でも、だって一緒に行きたいんだろ?」
「・・・え?」

私の顔を真っ直ぐ見つめて問うルフィ。その視線に耐えられなくて、目を逸らす。
この瞳を前にして、嘘はつけない。だから、どうしても黙ってしまうんだけど・・・

「俺もお前と一緒に行きたい。だから行こう!」
「ちょっと待ってよ!だから、私は・・・」

焦る私の肩を、ポンと叩く手。

・・・ゾロ?

「諦めろ、。」

うっ・・・前にも聞いたぞ、そのセリフ!





「どっちにしろ、もう船から降りられないわよ、。」
「え?・・・あぁ〜〜〜!」

陸があんなに遠い〜〜〜!

「あたりまえだろ〜この船は、進んでるんだぜ!」

ウソップ・・・それはそうなんだけど・・・何か釈然としない・・・





どうしよう・・・私が本で読んでるのはここまで。これ以上の事は知らない。

だから、私が一緒に行ったって、何の役にも立たないのに・・・





そう彼らに告げて、船から降ろしてもらおうと思ったんだけど、

「それじゃ、にとっても未知の世界への冒険なんだな?」

なんて、嬉しそうに言われてしまうと・・・降ろせなんて言えなくなるのですが・・・

「役に立ってもらいてぇわけじゃねぇしな。」

ゾロ・・・

「私は、が一緒に居てくれる事が嬉しいけど?」

ナミ・・・

良く見ると、皆、笑ってる。そして、皆の目が私の一言を待ってる。
それをひしひしと感じ、嬉しく思ってる自分がいる。
これ以上は誤魔化せないな〜皆に対しても。自分に対しても・・・

「未知の世界空島へ、私も一緒に連れて行って!」

「「「「「「「 お う ! 」」」」」」」










ごめんね、シャンクス。そして、赤髪海賊団の皆。
私は、このまま彼らと一緒に空島へ行って来ます。だけど、必ず無事戻ってくるから。だから・・・

もう少しだけ、私の我侭を許してね。










予測していた時間より、早く来たその兆候に、全員の顔に緊張が走る。
もちろん私も・・・まぁ、約1名、緊張の欠片もない奴もいるけどね。

そして、目の前の大きな渦。・・・この中心に行くのか・・・

横で泣いたり、叫んだり、喚いたりしてるナミとウソップとチョッパーは放っといて、

「ロビン、楽しそうね。」
・・・ええ、こんなのは初めてよ。」
「1人じゃないしね。」
「・・・そうね。」

ロビンと顔を見合わせ笑う。皆が居るから、一緒だから、こんな気持ちになるんだろう。
私にとっても、初めての経験。
赤髪の船の中では、完全に守られていた。でも、こいつらとは、一緒に走るんだ。
私にとって、帰る場所は赤髪海賊団の船。彼らの中。それは今でも変わらない。でも・・・
一緒に成長していける存在は、麦わら海賊団の連中なんだと、感じてる。

贅沢で、我侭だとは思うけど、それが私の中での真実。





渦の中心に辿りついた。んだけど・・・静かだ・・・

でもさぁ、空島って空にあるんだよね?って事は・・・もしかして、ここから・・・ん?

「誰だ、あれ?」

何やら船・・・って言うより、丸太?が近付いてくる。
あの男は確か・・・・・って、うわぁ!?

ちゃん!」
「あ、ありがと、サンジ。」

いきなり傾いた船にバランスを崩した私を、サンジが支えてくれた。

「どういたしまして。俺にしっかり掴まってて。」

お言葉に甘えて・・・今の状態で他のものになんて掴まれないしね。






突き上げる海流を昇る中、うちの航海士の指示が飛び、クルー達が走る。
こういう時、私は何も出来ない。どうやったらいいのか、いまいち分からないんだよね。
なので、1番邪魔にならないであろう、ナミの横に移動したいんだけど・・・い、行けるかな・・・





「いっ・・・よっとぉ!」

良かった、無事到着!

・・・」

あらら、何で不安そうな顔をするかね、この子は。

「大丈夫よ。」
「・・・」
「私はね、あんた以上に信じてるよ。うちの航海士をね。」
「・・・うん。」
「だから、その感覚の伝えるままに、指示を出して。」
「うん!」

ナミの表情に迷いが無くなる。よっしゃ〜〜〜行っけぇ〜〜〜〜〜!!!!!















くっ・・・な、何・・これ・・・くるし・・い、いきが・・・・・















「ケホッケホッ・・・はぁ・・はぁ・・・」

な、何とか生きてるみたい・・・何だったの、今のは・・・はぁ、疲れた・・・

「おい、皆見てみろよ!船の外!」

は?ルフィ?何?・・・船の外?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何・・・これ・・・?真っ白・・・雲?

・・・これって雲だよね。何で雲の上に乗ってんの?」

あのねぇ・・・私に聞かれても、んなもん分からんって。
何やら大騒ぎしてる男性陣は、放っといて・・・

「ここが空の海って事よね。でも記録指針はまだ上を指してる。」
「って事は・・・」
「ここは、積帝雲の中層って事でしょうね。」

女性陣で話を進める。
あいつらに付き合ってたら、どう考えたって前に進みゃしない。

「まだ上に行くのか?どうやってだ?」

ありゃ?チョッパー?
ウソップの息が止まってるとか何とか言いながら騒いでたんじゃあ・・・?って、
思いっきり復活してるじゃない、ウソップ。



はぁ???



「どうしたのよ、?」
「ウソップが、この空の海に飛び込むとか言ってるんだけど・・・」
「えぇ!?何考えてんのよ。」
「さぁ?」

ナミと顔を合わせ、肩を竦めた所で、

「でも・・・ここに海底なんてあるのかしら・・・」

っ!?ロビンの言葉に動きが止まる。・・・そ、それって・・・



「ウソップーーーーー!!!!!」



ルフィとロビンの連携プレイで、何とか無事(?)ウソップを引き上げたんだけど・・・
何で、こんなモンまでついて来るかな!

いっよっとぉ〜〜〜!

!俺の獲物を横取りすんな!」
「やかましい!誰の獲物だ!」
「俺のだ!」

あのねぇ・・・



何で・・・?動きが鈍い・・・これくらいの事で息が上がるなんて・・・

「ゾロ・・・」
「ああ・・・」

どうやら、ゾロも気付いてるみたい。

?」
「ロビン・・・」
「どうかしたの?」
「うん。私の身体・・・・・」

『何か変・・・』と言おうとしたんだけど、

「わぁ!!!」

・・・チョッパー? あ〜あ、双眼鏡落しちゃって〜ナミに怒られるぞって・・・何?
あれは・・・人?浮いてる???しかも、雲の上を走って・・・

こっちに来る!?

「あいつだよ、!あいつがさっき船を・・・」
「え?」





「排除する・・・」





ちょっと待て〜〜〜!



バキッ!


ドスッ!


ガンッ!



あ、あらら・・・サンジ、ゾロ、ルフィ。3人共見事にやられちゃってるよ・・・
多分、奴らも身体が思うように動かないんだ。

あいつ・・・空中からこの船を狙ってる。・・・何とかしないと・・・

「ロビン!」
「何?」
「あいつの動き、ちょっとの間止められる?」
「・・・ええ。出来ると思うわ。」

視線は空中の仮面男に向けたまま、ロビンと小声で打合せ、

「ちょ、ちょっと、ロビン?あんた達何する気?」

ナミの声を無視して、動こうとしたんだけど・・・





「そこまでだぁ!!!」





っ!?

・・・ちょっとやめてよ・・・これ以上、わけの分からんのを増やさないでよ・・・










やってしまいました〜〜〜!
本編『偶然の中の必然』の番外編・・・?分岐・・・?になります(笑)空島編です〜〜〜
ここまで読んで下さって、ありがとうございましたm(__)m
ここでは、ルフィ達や空島の方々と絡んでいく予定です。
そんなのでもいいよ〜って方は、お付き合い下さいませ。
それから・・・このお話は、完全にネタバレになる予定です。ってか、なります(爆)
お気を付け下さいませ。