【 迷 子 】
やっばぁ・・・
・・・迷子だよ、私・・・
今日は買い出しの日だって事で、一緒に連れて来てもらったんだよね。
シャンクス達の反対を押し切って・・・
今回の島は、あまり治安が良くないらしい。
となると・・・当然、この過保護海賊団の連中は、皆揃って反対するわけですよ。
それを、『大丈夫だから!』と説き伏せて来たってのに。
はぐれちまいましたよ、私ってば・・・
迷子の鉄則。それは・・・
むやみに動くな!って事なんだけど。
こんな所でじっとしてて見つかったら、それはそれで大目玉をくらう気がする。
私は私に聞きたい。
何で!わざわざ!こんな裏通りに入り込んでるかなぁ・・・
「よぉ姉ちゃん!」
「こんな所で何してんだぁ?」
「ヒマなら俺達が相手してやろうか?」
お約束ってヤツだねぇ・・・
ニヤニヤ笑いながら近付いてくるガラの悪い連中。
でも、私にはど〜って事ない。
だって、うちの連中のがよっぽどガラ悪いし。
まぁ・・・それもどうよって感じだけど、海賊だもんね。
さてと・・・こいつら、どうしてやろうかなぁ。
ゾクッ!
・・・何?
背後から、とてつもなくもの凄い冷気というか、何というか・・・
「残念だなぁ。」
「悪いが、そいつには遊ぶ暇はないようだな。」
「何なら、俺らが相手してやろうか?」
「遠慮すんなよ。俺らは暇だからよ。」
・・・私の真後ろから聞こえてくる、この声って・・・
恐る恐る振り返ってみたら、
ゲッ!!!
シャンクス・・・ベックマン・・・ルウ・・・ヤソップ・・・
な、何で!?皆船にいたんじゃないの!?
っ!?・・・ってか、あいつら逃げ足速っ!!
でも・・・当然私は逃げるわけにもいかなくて・・・
「さて・・・と、?」
ギクッ!
「確か『大丈夫だ』って豪語してたよなぁ?」
「うっ・・・」
「?」
「・・・ごめんなさい・・・」
大きな溜め息が聞こえてきたと思ったら、大きな手が私の頭をクシャッと。
シャンクス?
「まぁ兎に角、無事で良かった。」
あっ・・・
顔を上げた私の目の前には、苦笑しながらもホッとしてる4人の男達。
心配かけたって事だよね。
「ごめんなさい。」
「ああ。」
「それと・・・ありがとう!」
「「「「 おう。 」」」」
それにしても、どうしてシャンクス達があそこに居たんだろう・・・
今回の買い出しに一緒に来てたわけじゃないし。
その買い出しのメンバーは、決して下っ端とかじゃなくて、
結構強い面々が揃ってたっていうか、揃えたっていうか。
それなのに・・・
「何で?」
「・・・これだ。」
ベックマンの手の上にあるのは・・・
電伝虫?
ってか、今の私って主語も述語も何もかもすっ飛ばして、疑問だけ口にしちゃった気がするんだけど、
何で普通に会話が成立するんだろう・・・
「あいつらに持たせてたんだよ。」
「んでよ、誰かさんがはぐれたって報告が入ったわけだ。」
えっと・・・今まで買い出し部隊にそんなもの持たせてた記憶がないんだけど・・・
つまり私は、迷子になる事が前提ですかい?
「実際になってんじゃねぇか。」
「うっ・・・」
「あとは、最後にお前を見た場所から、お前が行きそうな道を辿ってただけだぜ。」
「それでホントに見つけちゃうんだ・・・」
「だからなぁ。」
・・・どういう意味だ?
「でもよ、ホントにトラブルに巻き込まれてるたぁ思わなかったぞ。」
ルウさん・・・蒸し返さないで下さい・・・
「お前ってよ・・・予想を裏切らねぇ奴だよなぁ・・・」
ヤソップ・・・しみじみ言うなぁ!!!
あの日から、出掛ける時には子電伝虫を持たされるようになってしまった。
結局・・・過保護海賊団健在って事なんだよね。
でもこれって、安心して迷子になってもいいって意味じゃ・・・ないよねぇ・・・
「「「「 あたりめぇだ!!! 」」」」
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