【 宿命 @ 】





「うそ〜〜〜・・・・・グレミオが復活しない・・・なんでぇ・・・?」



とりあえず、先に進めるのはちょっとやめて・・・ルックんトコ行ってみよ。
階段降りて、『何かよう?』なんて言われながら・・・・・



ガーン・・・1人足りない・・・誰がいないの?



「・・・・・・・・・・レオンだ・・・ちっ、忘れてたよ・・・」

これの直前でセーブしちゃったからなぁ・・・って事は、最初からやり直し?
思わずコントローラーを投げ出してしまう。



だって・・・だって・・・はぁ・・・・・



一応、これで最後までやって、EDを見たけど・・・やっぱりグレミオ復活させたい!
あ〜ん、折角『幻水2』を買ったのに〜!まだおあずけ〜〜〜?

でも、やっぱりセーブデータは欲しいし・・・グレミオ出したいし・・・もう1回頑張るか!





「う〜〜〜ん・・・背中と腰が痛い〜〜〜今、何時?・・・ゲッ!」

既に、しっかり日付境界線は越えて、更に何時間?ってな状態。
ヤバイよ・・・明日も仕事なのに・・・



「ちょっと喉渇いちゃったかな〜、お茶でも飲んでから寝よっと。」

全神経を画面に集中させてたからかな・・・でも、悔しいなぁ・・・

なんて考えながら、階段を降りる。
私の部屋は2階だからね、キッチンは下だし。
キッチンの電気を点けて、冷蔵庫から麦茶を出して飲んで。
コップを洗って食器棚に戻したところで、不意に背中で違和感を感じる。



・・・・・何?



振り返りたいけど、振り返れない。



振り返っちゃいけない気がする。



でも、このままじゃ部屋にも戻れないし・・・



仕方ないよね・・・



勇気を振り絞って振り返った瞬間、私は強い光に包まれた。



あぁ・・・やっぱり、振り返るんじゃなかったかなぁ・・・




















フッと気が付くと、あの強い光は消えていた。
そのかわり、目の前にあるのは4つの少年の顔。





君達・・・誰?




・・・・・ん?その内の2つの顔が少々気にかかる・・・どっかで見た顔・・・

あっ!『幻水2』のゲームの表紙(?)になってた子の内の2人だ!
って事は・・・これって夢?

「・・・お姉さん・・・誰?いつからそこに居たの?」

表紙になってる髪の長い方の男の子が私に尋ねる。何って応えたらいいの?



しばらく考え込み、正直に話そうと思って顔を上げ、少し動いたら、指先をベッドの端にぶつけた・・・

・・・痛いよ・・・これ、マジに痛いって・・・え・・・痛い?

自分の指先を呆然と見詰める。ズキズキと痛む指先を・・・
夢って痛みを感じないのよね?ましてや、それが持続するなんて・・・ないよね・・・

「あ、あの・・・お姉さん、大丈夫?」

今度は、多分『幻水2』の主人公の男の子が声を掛けてくる。この子達も・・・本物?

とりあえず、本当の事を話してみようと思った。
大人よりも子供の方が柔軟性があるから、信じてくれるかもしれないと思ったからなんだけど・・・





「へぇ〜、じゃ、お姉さんって異世界から来たって事になるのかな?」

・・・・・あっさり信じ過ぎだぞ、4人とも!

「そんなに簡単に私の話を信じちゃっていいの?」

思いっきり不満顔の私に、髪の長い男の子が・・・って、いい加減名前くらい聞けよ、私。
兎に角、その男の子がクスッと笑って、

「だって、お姉さんのその服、見た事ないし。」

でも・・・私の格好って、普通のGパンとTシャツだよ?君達のとそんなに変わってる気しないけど?
そりゃあ、こっちの2人の格好とは、かけ離れてるけど・・・

「それにね、お姉さん、ここに急に現れたんだ。」

今度は、2主人公君。でもね、この世界があの幻水の世界なら、テレポートとかあるよね?

「それと、何よりも重要なのが・・・」

ここで2人が顔を見合わせてにっこり笑う。・・・・・何だ?

「お姉さんの目、うそついてないもん!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・脱力・・・

・・・こいつらって・・・可愛すぎる・・・





「それじゃ、とりあえず君達の名前教えてもらえる?私は、。」

顔を上げ、にっこり笑って尋ねると、すぐに2主人公君が、これまたにっこり笑って、

「僕は。それからこっちが僕の幼馴染のジョウイ。それから・・・・・・・・・・・・・」

が名前を呼ぶと、その子がペコリと頭を下げる。うんうん、なかなか好印象だよ、君達。

本当に・・・可愛い・・・

「宜しくね!でも・・・私、これからどうしよう・・・」
「行く所がないんだね。じゃあ、僕達と一緒に行かない?なぁ、。」

ジョウイの問い掛けに、が勢い良く頷き、

「僕達、明日キャロの街に戻るんだ。僕はナナミと2人だけだから、ナナミもきっと喜ぶよ!」



キャロの街って何処だよ・・・



ふむ、ナナミ・・・何となく、あの表紙に載ってたあの女の子のような気がする。
今の私には、この子達以外に知り合いも居ないし、

「じゃ、一緒に行ってもいい?」

私が聞くと、2人とも嬉しそうに頷く。ちょっと・・・抱き締めたいかも・・・





「そうと決まれば・・・それまでさんを隠しとかなきゃね!」
「うん・・・特にラウド隊長には見付からない様にしないと・・・」
「そうだよね、ラウド隊長に見付かったら、絶対連れて行かれる。」
さん、綺麗っていうか、可愛いから・・・戻って来れないよね・・・」

4人が円陣を組んで話し合っている。ラウド隊長って、誰だろう?
この子達の上官だよね、多分。でも、この言い方からして、あまり良い隊長じゃないんだな・・・
それに・・・ここにいるのは当然男の子ばっかり・・・・・考えたくないな・・・・・



とジョウイが『ちょっと見てくる!』と言いながら、出て行った。
残った2人が、私を奥の方にあるベッドへと連れて行く。

「この中に入っててよ。だったら急に誰か入ってきても大丈夫だから。」

なるほど!
賢いね、君達。

でも・・・ベッドに入ったのはいいけど・・・ヤバイぞこれは・・・
私・・・本気で寝そう・・・





しばらく経ち、私はきな臭い匂いに気付いて目が覚めた。
横のベッドを見ると、とジョウイが一緒に寝てる。
私がベッドを占領しちゃったからだよね・・・ごめんよ、2人とも・・・

とりあえず、この匂いの正体を確かめようと起き上がった時、




「敵襲だぁ ! ! ! ! !」




え?何?




驚いて固まってる私の所に、とジョウイが駆け寄ってきて、

さん!兎に角一緒に逃げよう!さぁ、早く!」

ジョウイに腕を掴まれて、テントの外に出ようとした時、

!ジョウイ!」

うわぁ〜〜〜!誰〜〜〜?

思いっきり、力任せにジョウイにテントの中に戻される。痛いよ・・・
何も、突き飛ばす事ないじゃない・・・

「ラウド隊長!」

2人の声がする。ラウド隊長って確か・・・・・ゲッ!
思わずテントの1番奥まで逃げちゃったよ。何かね、女の勘っていうか、本能的にっていうか、
今、外にいる男・・・私、嫌い!

さん!」
「!?」

いきなり真横から声を掛けられて、びっくりして見ると、
私のすぐ傍のテントの布をナイフで切ってくれたみたい。思ったより頼りになるね、君達。



再びジョウイに手を引かれて、山道を走る。
途中、少年兵らしき子供達が倒れてる・・・これは一体?何がおこっているの?



突然ジョウイが立ち止まる。当然私は・・・・・

「いたっ!」
「あ、ごめん!」

背中にぶつかるって!知ってる?人間ってね、急には止まれないのよ。
ふと2人を見ると、何か真剣に話し合ってる。どうしたんだろう・・・?
こういう場合、私って何の役にもたたないなぁ・・・何も出来ないや・・・

さん、戻るよ!」

今度はに手を引かれて、来た道を戻る。
何なの?っていうかね・・・お姉さんは、運動不足なんだよ・・・
既に息切れ状態なの・・・でも、そんな事言えない雰囲気。
だって、2人の表情・・・恐いくらいに真剣なんだもん・・・





戻ってきた私達は、物陰に隠れる。私が隠れるのは解るけど、何で君達まで?
・・・2人とも、1点に集中してる。・・・何があるの?
見付からないように、こっそり覗いて見る。・・・・・誰?

やたらとごますってるみたいな、私の1番嫌いなタイプの男の前に、
何だかずいぶん偉そうな若い男。

あぁ・・・せめて『幻水2』の説明書だけでも読んでたら、
こいつが誰なのかって事くらい分かるのに・・・多分、雑魚キャラじゃなさそうだし・・・
あの偉そうな男は・・・
米つきバッタは、雑魚キャラかもしれないっていうか・・・雑魚キャラだと思うけど。

そんな事を考えていた私は、突然腕を引かれて声を上げそうになる。
あぶない・・・あぶない・・・こんな所で声なんか出したら、1発で・・・



・・・何か、今・・・あの偉そうな男と・・・目が合った気がしたんだけど・・・



2人に引っ張って来られた先は・・・・・崖?ど、どうしろと?

さん!僕達の後ろに!」

え?え?え?え?え?

言葉通り、2人の後ろに移動しながら見ると・・・

「米つきバッタ!」

思わず、指差して叫んじゃったよ・・・
意味は分からなかったみたいだけど、やらしい目で私を見る。

うわぁ・・・最悪・・・見るなよ・・・減る。

2人の会話から察するに、こいつがラウド隊長らしい・・・なるほどね。



!ジョウイ!負けちゃダメよ、頑張って!」

私の応援に、

「もちろん!」
「任せてよ!」

と、笑顔で返してくる2人。
本当に・・・将来有望だね、2人とも。お姉さんがもう少し若かったらと、今、真剣に思うよ・・・

あっという間に奴らを撃退!へぇ〜、2人とも結構強いんだ。
捨て台詞を残して去って行くラウド隊長・・・だっけ?見苦しいなぁ・・・





「どうする・・・このままじゃ、いつかやられる。」

そして、2人が話し合いだす。こうなると、私はカヤの外。だって、分からないもの。
って・・・何やってるの?岩にナイフで傷つけたりして・・・
何だか知らないけど、えらく真剣だから声掛けられないのよ。

さん、ここから飛び込むよ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?何ですって?ここから・・・?

「えぇ〜〜〜?」

思いっきり後ずさる私に、

「他に方法がないんだ。それとも、ラウド隊長に捕まった方がいい?」

それは・・・嫌。絶対に嫌。それくらいなら・・・・・・・・・・・・・

「・・・わかった。」

えぇい!いちかばちか、女は度胸よ!

そして、3人で滝へと飛び込む。私・・・生きて帰れるのかなぁ・・・
















ここまで読んで下さってありがとうございました。
この壁紙は、血の繋がっていない双子の姉(笑)瑠衣が私の為に作ってくれたものですvv
前のサイトの時の事なんですけどね〜お願いして今回も使わせてもらいました♪