【 偶然の中の必然 〜終宴〜 】





皆・・・本当にお疲れ様。


私が倒れないのはきっと、彼らほど戦ってはいないから。


でも、どうしよう・・・たしぎ達海軍が来るはずなんだよね・・・
私がここに居ちゃ、まずいんじゃないのかなぁ。






!」

え?あっ!

「シャンクス!ベックマン、ルウにヤソップも!」

駆け寄った私の頬に、シャンクスが触れる。

「良く頑張ったな。お疲れさん。」

あ、何・・・?

シャンクスの言葉を聞いた途端・・・景色が・・・揺れる・・・















「ん・・・」
「気が付いたか?」

え?な、何?この状況は???

何で私、シャンクスの腕の中で寝てるわけ???

「大丈夫か、?」
「あれ・・・ベックマン?」

良く見ると、ルウとヤソップも座り込んでる。

「私・・・どうしたの?」
「倒れたんだ。・・・あいつらと同じようにな。」

ベックマンの指差した方向には、まだ倒れてる麦わら海賊団の面々。

私も倒れたんだ・・・でも、何で急に?










あ・・・そうか・・・私が安心して倒れる事の出来る場所だったからだ・・・

シャンクス、ベックマン、ルウ、ヤソップ。

彼らの居てくれるこの空間だったから・・・だから・・・

ホントに、私の身体って、正直だよね・・・










「あ、ねぇ、海軍は?」
「ん?あぁ、もう行っちまったぜ。」

ふむ・・・やっぱりたしぎは・・・って事は、今頃泣いてんのかな・・・?




「で、お前はどうすんだ?」

聞いてくるシャンクスの瞳は優しい。もちろん、他の皆も・・・
私が何って言うか分かってて、聞いてくれてるんだと思う。

「今ここで、私が消えてしまったら、あいつら絶対心配するし・・・」
「ああ、そうだな。」
「私を見つけるまで、ずっと捜し続けると思うから・・・」
「・・・だから?」

まっすぐ私を見ながら問い掛けてくるシャンクスの目を、私もじっと見つめて、

「まだ、戻れない。」















「・・・んっ・・・」

ナミがゆっくり起き上がる。まだ辛そうだな・・・

「目が覚めた、ナミ?」
・・・良かった・・・」
「え?」

私の横に座り直して、肩にコツンと頭を乗せる。・・・ナミ?

「起きたら、が居なくなってる気がして・・・少し怖かったの。」
「ナミ・・・」
「良かった・・・」
















あれから3日。ルフィはまだ目覚めない。
けど、そろそろ・・・

今日私は、サンジとウソップと一緒に、買い出しに来てる。

寝てるルフィは、ビビとチョッパーに任せておけばいいし、
ナミと一緒に、国王の本箱漁っても仕方ないし、
ゾロと一緒に居たら、絶対に『相手しろっ!』って言われると思うから、近付かない。
だって・・・そんな事したら、チョッパーに怒られる・・・



「たっだいま〜♪」
「お帰り。買い物は出来た?」
「うん。必要最低限の物は、手に入ったと思うよ。で、ルフィは?」
「あれ。」

ナミが指差した方には、未だに目覚めない船長。

「そろそろだと思うんだけどなぁ・・・」



「ふわぁ〜〜〜 良く寝たぁ〜!」



び、びっくりした・・・



いきなり起きるなよ、ルフィ!










大宴会と化した会食も終わり、入浴タ〜イム♪

「うわぁ〜〜〜!」
「すっご〜〜〜い!」
「でしょ!」

その浴場は、兎に角広かった!
私達3人だけで入ってもいいのかと、思ってしまうほど、広かったの。

「ん〜〜〜気持ち良い〜〜〜」

「・・・ねぇ、・・・」

湯船に浸かってる私に、ナミの声。

「いつまでうちの船に乗っていられるの?」
「・・・・・」

ビビに背中を洗ってもらってるから、私からナミの顔は見えないけど、
何となく、どんな表情してるのか、分かっちゃうよ・・・

「もう・・・迎えは来てる。」
「えっ!?」
「・・・やっぱり。」
「ナミさん?」

あらら、やっぱりナミには気付かれてたか。

あの日のナミのセリフで、もしかしたら・・・とは、思ってたけどね。





「今夜、ここを出る。」





ルフィも目覚めたし、船も気になるって事で。
ボンちゃんの事は、私はあえて言わなかった。だって、その方が面白いし♪



ビビに対する、最大級の勧誘。



彼女はこの国の王女。
もう一緒に航海する事はないけれど、それでも、ビビが大切な仲間である事は変わりないから。
その想いを込めて、最後にもう1度抱き締める。

何も言わない。言葉は、ビビを悩ませるだけだから・・・





「・・・まだ、一緒に居てくれるのね。」

船に乗り込んだ私の横に来て、ナミが呟くように言う。
ビビと一緒に私まで居なくなったら、寂しすぎるって事・・・かな。不安だったんだね。

「もう少しだけ・・・ね。」
「うん。・・・ありがと。」





ヒナの攻撃。ボンちゃんとの別れ。・・・って言うのか、あれは?





ビビとの別れと、仲間の証。そして・・・





ロビンの出現。





全て知ってた私としては・・・兎に角傍観者に徹した。

空から船が降ってきても、ログを空島に奪われても、
ルフィ、サンジ、ゾロが海に潜っても。



・・・ただ見てた。でも・・・



「ロビン、ちょっと・・・」
「何かしら?」

ナミとウソップが、マシラの相手をしてるうちに・・・

「あっちの船に、エターナルポースがあるはずよ。取れる?」

ニヤッと笑ってロビンに言ったら、彼女も『ふふっ』と笑って、

「もちろん。」



・・・簡単に取れるもんなんだねぇ・・・



そのエターナルポースに従って、今度はジャヤを目指す。





割と近かったんだね〜ジャヤって。

町へと入って行く、ルフィ、ゾロ、ナミを見送ってから、
私はロビンと、服の調達も兼ねて、別の方向から町へと入った。

「とりあえずは、空島の情報・・・よね。」
「そうね・・・」

・・・ロビン?

いきなり止まったロビンが、じっと酒場を見つめてる。
何か・・・あったのかな?

って!?何処行くのよ、ロビン!???



「その、クリケットという男の居場所を教えなさい。」



お 〜 お 〜 お 〜 鮮やかだねぇ〜



「モンブラン・クリケット・・・か。」
「・・・あなた、何者なの?」
「え?」

私?クリケットの事じゃなくて、私?

「私が現れた時も、船が空から落ちてきた時も、あなたは驚いてなかった。」
「・・・・・」

ふ〜ん・・・流石はロビン。良く見てるもんだ。

彼女も仲間なんだもんね。話してもいいはず・・・

「私はね、異世界から来たの。」
「え?」










「・・・そんな事って・・・本当なの?」
「それなら、私が色々と知ってる事にも、説明がつくでしょ?」
「そうね・・・」
「でも、これ以上は言わないわよ。」
「・・・?」
「自分で見つけなきゃ、意味ないでしょ?」
「ええ、そうね。その通りよ。」

私を真っ直ぐ見つめて頷くロビン。その目に、諦めの色は見えない。

「さてと、そろそろ戻りましょう。」
「ええ。」
「男前の上がったルフィとゾロ、それに、怒り狂ったナミが待ってるわ。」
「・・・航海士さん、どうかしたの?」





うわぁ〜〜〜ナミがキレてる〜〜〜

「あらま、ずいぶん男前が上がったじゃない、ルフィもゾロも。」
「「だろ!」」
!?何を悠長な事言ってんのよ!」

おっとぉ〜、ナミの怒りの矛先が、私に向かっちゃった。でもねぇ〜

ルフィの顔を見て、ゾロの顔を見る。ふむ・・・やっぱりね。

「殴る価値もない相手だったって事でしょ。」
「そんな事言ったって!!!」

まぁ、ナミの気持ちも分かるけどね。私だって、目の前でやられてたら、どうなってるか・・・
でも、今は時間がないんだから。

行きましょう。夢を語り、この町を追われた、ジャヤのはみ出し者の所へ。















倒れたクリケットを看病し、空島の情報を聞いた。

そして今、私達は森の中にいる。宴会の途中で放り出されたのよね・・・

鳥を捕まえる為に。





網が3つあるからって、3手に別れたのはいいんだけど・・・

捜す気あんのか、ルフィ!チョッパー!

!ほらこれ見ろよ!」
!こっちもすげぇぞ!!!」

「あんた達ねぇ・・・」

今は、カブトムシを捕まえに来てるんじゃなくて、鳥を捕まえに来てるんだってば!

「おい!こっち!!!」
「もう、いい加減にしなさい!」



ボトッ!!



ギクッ!



い、今の音は・・・もしかして・・・



!逃げろ!蜂の巣だぁ〜〜〜!」

「うわぁぁぁ〜〜〜!」

「キャーーー!!!」











な、何とか鳥を捕まえ・・・と言っても、ロビンのおかげだけどね。
戻って来た私達の目に映ったのは・・・倒れているクリケット達・・・

ベラミー達の存在を・・・すっかり忘れてた・・・





「朝までには戻る。」





行って来い、ルフィ!

でもこいつ・・・寄り道してくるんだよな・・・





さてと・・・私は、ここまでが限界だよね。





「皆・・・話があるの。」





「何だよ。今、忙しいんだぜ、後にしろよ。」
「どうかしたのかい、ちゃん?」

「私・・・これ以上は、一緒に行けない。」




「「「 えっ!? 」」」

驚き顔の、サンジ、ウソップ、チョッパー。

「「・・・・・」」

何も言わず、私を見つめる、ナミとロビン。そして、

「迎えが来てるって事か。」

相変わらず、勘の鋭いゾロ。





空島に、行きたくないわけじゃない。正直なところ、行ってみたい。
でもね、これ以上はダメだと、私の中の何かが告げるから、
私は、赤髪海賊団の船に戻ります。皆・・・今まで、ありがとう・・・





戻って来たルフィにも、『これ以上は一緒に行けない』と伝える。

「ダメだ!」

「ルフィ・・・」

「ダメだ、ダメだ、ダメだ!一緒に来いよ、!」

必死になって言ってくれる、ルフィの気持ちが嬉しいよ。

「あのねルフィ、私達って、縁があるんでしょ?」
「おう!」
「だったら大丈夫。また会えるよ。」
「・・・・・」

「皆が空島から降りてきたら、絶対に会える。」

「空島から降りてきたら・・・」

「私は楽しみにしてるよ。空島で成長したあんた達に、また会えるのをね。」

「・・・分かった!」

ルフィの顔に、いつもの笑顔が戻る。そして、皆の顔にも・・・

「それじゃ、行って来い、空島へ!」
「おう!」





!俺様の活躍話をしっかり聞かせてやっからな!」
「俺、頑張ってくるよ!」
「次に会った時には、色々と聞かせてね。楽しみにしてるわ。」
ちゃん、珍しいお土産を持って、帰ってくるからね!」
「今よりずっと強くなって戻ってくっから、手合わせしろよ!忘れんじゃねぇぞ!」
「それじゃ、またね、!」
!行ってくる!!!」





「・・・行ってらっしゃい・・・」

泣いちゃダメだよ・・・笑顔で送らなきゃ・・・

「いい!次に会うのは、降りて来た時よ!落ちてきたら許さないからね!」

「「「「「「「 おう! 」」」」」」」















「もう、いいのか?」

「うん。」

私の後ろには、4人の男達。

「シャンクス・・・」
「ん?」

視線を、海からシャンクスへと移す。
そして、ベックマン、ルウ、ヤソップを見て、1度目を閉じ、
目を開けて、再びシャンクスを見上げて、にっこり笑い、

「ただいま!」

「ああ・・・おかえり。」

くしゃっと私の頭を撫でる大きな手。
赤髪の船を降りてからも、ずっとこの手に守られていた気がする。



さぁ戻ろう・・・私の居場所は、赤髪海賊団の船の中。
例え何処へ行こうとも、最終的に戻るのは、彼らの中だから・・・



そして、ルフィ、ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジ、チョッパー、ロビン。
次にあなた達に会えるのを、楽しみにしてるよ。待ってるからね・・・












『偶然の中の必然』の第一部終了でございます。
ここまでお付き合い下さいまして、本当にありがとうございました〜〜〜!
第二部は・・・いつ書くのか分かりません(爆)
だって〜〜〜原作が進んで、赤髪海賊団が何をするのかが分かってからじゃないと、これの続きは書けませんよ(^^;)
しかも沙姫は単行本で読んでる奴なので、何時になる事やら(笑)
この最終話は、兎に角女の子達と絡ませたかった♪それと・・・
赤髪海賊団の面々との絆でしょうかvvv
少しでも感じていただけたら、本当に嬉しいです!

第一部だけでこんなに長くなるとは思っていませんでしたが、読んで下さっていたずべての方々に感謝です!
本当にありがとうございましたm(__)m