【 偶然の中の必然 〜声〜 】





「・・・?」

シャンクスの私を呼ぶ声が聞こえる。



でも・・・私の足は動かない。



4人が近付いてくる気配を感じるのに、顔を上げる事さえ出来ないよ。

だって・・・やっぱり私には、今ここで彼らを見捨ててシャンクス達と一緒に船に戻る事なんて・・・

どうしても出来ない・・・





「はぁ・・・」

私の頭上で、シャンクスの大きな溜め息が聞こえる。

呆れた?怒った?私の事なんて、もう見捨てる・・・?



それでも私は・・・



「・・・やっぱりな。」
「え?」

頭を軽くポンポンと叩かれて、驚いて顔を上げたら、

「・・・シャンクス?」

思ってもいなかったくらい、優しく笑ってるシャンクス。

「そんなこったろうと思ってたぜ。」
「ベックマン?」

声がした方を見上げると、苦笑いを浮かべながらも、優しい瞳のベックマン。
ルウやヤソップも、笑いながら私を見てる・・・

「俺達を誰だと思ってんだ?お前の考えそうな事くらい、お見通しだぜ。」
「・・・いいの?こんなの私の我侭なのに、許してくれるの?見捨てないの?」
「ばかやろう・・・こんなんで見捨てるか。お前は俺達の仲間だろうが。」
「思う通りにやってみな。見ててやっからよ。」
「援護は俺がしてやる。だから安心して突っ走んな。」
「皆・・・」

涙が溢れる・・・何でだろう、この人達の中にいると、私の涙腺壊れちゃうみたい・・・

「泣いてどうすんだ、お前は今から戦いに行くんだろうが。」

ベックマンの大きな手が、私の涙を拭ってくれる。
ありがとう、皆!





「うん。それじゃあ私、行ってくる!」

「ちょっと待て。」

シャ〜ン〜ク〜ス〜〜〜!折角気合入れたのに!

「いいか。これだけは覚えとけ。」

私に視線を合わせ、真剣な表情のシャンクスに、私も背筋をピンと伸ばす。

「何?」



「その身体に、掠り傷1つつけんじゃねぇぞ。そん時は、無理矢理にでも連れ帰るからな。」



・・・は?掠り傷1つ?んな無茶な!!!



「まぁ、お前なら大丈夫だろう。」

ベックマン・・・何を基準に言ってんのよ!

「頑張んな、♪」

ルウってば・・・完全に楽しんでやがる・・・

「ある程度は俺が援護してやるから。」

ヤソップ・・・ある程度って、どの程度なのよぉ!





「さぁ、行け!俺達は常にお前を見てる。」
「うん。」

シャンクス、ベックマン、ルウ、ヤソップ・・・彼らが後ろに居てくれるのなら、
私は前だけを見て走れる。















Uターンして戻って来てくれた超カルガモ部隊の・・・誰だっけ、この子?
まぁいいや、兎に角この子に乗って、私もアルバーナに入る。

皆・・・何処にいるんだろう・・・





あっ!あれは・・・

「ウソップ!チョッパー!」
「「!!」」

ウソップ・・・酷い怪我・・・こんなになっても、君は友達の・・・ルフィの夢を守ったんだよね・・・

「ウソップ・・・良い男だね、あんたも。」
「だろ!・・・いちち・・それより、お前怪我は?」

そんな状態でも、私の心配するんだもんなぁ・・・まいった。

「私は平気。そもそも戦ってないし。」
はどこも怪我してないのか?ホントか?」
「うん。私は大丈夫だから、君はウソップの治療に専念しなさいね。」
「おう。」





ウソップとチョッパー。
彼らを見ていて、私の選択が間違っていなかったと改めて思う。
やっぱり、見捨てて逃げる事なんて、出来る筈ない。
そして彼らも、私がそんな事をするなんて、微塵も思っていない。
会って間もない私を、ここまで信じてくれている。

裏切れるわけがないよね。





ちゃん!!!」
「サンジ!」
「大丈夫?怪我してないかい?」
「私は大丈夫だけど・・・」

言いながら、ウソップを指差すと、そっちをチラッと見て、

「ああ、あれは生きてるなら大丈夫だ。」

こらこら!

「どういう意味・・・いってぇ!」
「あぁもう、ウソップ!動くんじゃないわよ!」
「でもよ・・・」

まだ何か言いたそうなウソップは、ほっといて、

「チョッパー!」
「何だ?」

少し小首を傾げるチョッパー。
うっ・・・可愛い・・・って、そんな事言ってる場合じゃなかった。

「サンジも診てあげて。肋骨がいかれてるはずだから。」
「そうなのか、サンジ!?」
「・・・よくご存知で。」
「まぁね。」
「これはやっぱり、愛の力なんだね。」

ってあのねぇ・・・人の手を握ってるヒマがあったら、とっとと診てもらえ!
それじゃなくても、時間がないんだからね!





ウソップをマツゲの背中に乗せて、走ってる最中に見付けた。
あの腕のマークは・・・バロックワークス・・・

「皆、先に行ってて!」
ちゃん?」
「私はちょっと、あいつらを片付けてから行くわ。」

私の視線の先にある奴らを見つけ、

「1人で大丈夫か?」

心配そうに言ってくれるのは、ありがたいんだけどね、

「私の腕は知ってるでしょ。大丈夫よ、すぐに追いつくわ。」
「・・・分かった。」
「気をつけろよ、!」
・・・」

ん?何か言いたそうなウソップ・・・って言うか、聞きたそう?あっ!

「ウソップ!」
「ん?」
「ルフィは・・・生きてるわよ。」
「っ!?本当か?」
「私が言うんだから、間違いないわ。すぐにその目で確認出来るわよ。」
「そうか・・・が言うんだから、間違いないよな!」
「さてと、それじゃ!」
「ああ、気をつけろよ!」











「よっとぉ!・・・こんなもんかな。」

これ以上奥まで行っちゃうと、出て来れなくなりそうだし、この辺の奴らは倒したと思うし・・・

「このアマ〜〜〜!」

ゲッ!まだ居たんだ!背後から襲うなんて、卑怯だぞ!



ドン!!!



・・・え?



今にも私に切り掛かって来ようとしてた奴が、いきなり倒れた・・・何で?

それに、今の音は・・・?



あっ!



「ヤソップ・・・」

ホントに居てくれてるんだ・・・ずっと・・・よしっ!

「ありがと!」
















さん!」
!」
「ビビ!ウソップも!・・・どうしたの?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「爆弾・・・」

?あっ!お前分かるんじゃねぇのか、どっから狙ってんのか?」

ウソップの言葉に、ビビも縋るような目で私を見てる・・・のに!



名前が出てこない〜〜〜!!!



「ビビ!」
「はい!」
「ごめん、どうしてもその場所の名前が出てこないの。」
「そんな・・・」
!思い出せよ!!!」
「だから!私が今から言う単語から、連想される場所をあなたも一緒に考えて!」
「うん!」

「まず、高い場所。ここが見渡せるくらいのね。それから・・・秘密基地。」

「秘密・・・基地?」
「うん。」

ビビが考え込む。この言葉に聞き覚えがあるから。
ごめんね、こんな回りくどい事になって・・・私が名前さえ・・・

「時計台・・・」
「え?」
さん、時計台じゃない?」
「そこ!!!」
「よしっ!急ぐぞ!のろしを上げてから・・・行くぞ!」
「急ごうビビ!」
「うん!」





時計台へと到着し、ビビとチョッパーがどんどん上へとのぼって行く・・・

なんだろう・・・何かを忘れてる気がする・・・

「よしっ!もう少し・・・、どうしたの?」
「ナミ・・・私、何かを忘れてる気がする・・・」
「どういう事?」
「まだ、何かが残ってる・・・」
「え?あっ!ビビが行ったわ!もう・・・脅かさないでよ、。」

ビビが中へと入って行くのが見える。でも・・・胸騒ぎは治まらない・・・

・・・」
「え?」
「ビビが顔を出さない・・・」



あっ!



・・・思い出した・・・



・・・時限式の爆弾・・・



そして、ぺルが・・・













止まらない戦闘。落ちてきたクロコダイル。降ってきた雨。そして・・・

ビビの声が皆に届く・・・













「さぁ、ここから先に、私達は必要ないわ。ルフィを迎えに行きましょ。」

私の言葉に全員が頷く。

そして、ルフィを背負った国王に会い、ルフィを受け取る。

ビビと国王の姿が見えなくなったと同時に、崩れ落ちるように倒れる麦わら海賊団。

皆・・・お疲れ様でした・・・











ここまで読んで下さって、ありがとうございました〜!
前回が続きっぽく終わらせてしまったので、今回は普通に終わらせました(笑)
前半部分は、思いっきり私の妄想でございます〜〜〜妄想&煩悩大暴走〜〜〜(爆)
やっぱりね・・・沙姫は赤髪ファンなので、どうしても彼らが・・・ね♪
一応、次回で第一部終了となります!
しかし・・・書きにくかったです・・・原作通りに進んでいくのって、書きにくい〜〜〜!
どこまで書いちゃっていいのか、書きすぎたら長くなりすぎるし・・・読んでる方は知ってる話だし・・・
と、少々悩みましたね、今回は(今回だけかい!/爆)
少しでも萌えていただけたら嬉しいです!
ありがとうございました〜〜〜!