【 空島編 G 】 ウソップのロープを伝って、何とか舟へと辿り着いた。 その間、この2人本当に煩かったけどね。 相手は心綱が使えるのだから、静かに行っても結果は変わらないんだけど。 まぁ、この2人らしくていいけどね。 「中に入ったら、2手に分かれよう。」 確かにその方がいい。全員で一緒に行ったら、確実に共倒れになる。 「ちゃん!」 「ん?」 「決して無理はするなよ。危なくなったらこいつを盾にしたらいいからね。」 「おいっ!」 私の手を握って力説するサンジに、ウソップのツッコミが入る。 こんな時でもこいつらはこれかい・・・何か、一気に身体の力が抜けたよ・・・ 「それじゃちゃん、気を付けて。」 「サンジも!ウソップ、行くよ!」 「おう!」 ・・・誰もいない・・・ 「なぁ、・・・」 「ん?」 舟の中を走りながら、ウソップが話し掛けてくる。黙ってるのも怖いって事かな。なんか、らしいや。 「俺達の行動、やっぱエネルにバレてんのかな?」 「ウソップとサンジはね。」 「へ???」 立ち止まるなぁ!!! 「ほら、行くよウソップ!」 「あ、ああ・・・何で俺達だけバレてんだ?」 「奴らの心綱、私には効かないみたいだから。」 「???じゃあよ、の事は知らねぇのか?」 「いや・・・エネルは会話も聞こえてるみたいだから、気付いてはいるんじゃない?」 「っ!?じゃ、お前はしゃべっちゃダメじゃねぇか!もうしゃべんな!!!」 いや・・・もう遅いだろう・・・これだけしゃべってんのに。 「あっ!ほら、あそこから甲板に出られるんじゃない?」 「しゃべんなって!・・・ん?あ、ホントだ。」 扉を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは、今にもエネルに攻撃されそうな、 「ナミ!!!」 「火薬星!!!」 ウソップの攻撃でエネルの視界が遮られてるうちに、ナミの方へと走る。 「ナミ、大丈夫?」 「!!!」 抱きついてくるナミの背中を軽く、ポンポンと叩く。あれっ、ルフィの麦わら帽子? 「ルフィもいるの?」 ナミがゆっくりと首を横に振る。 「ううん、さっきまではいたんだけど、落とされたの。」 ここから落とされた・・・まぁ、ルフィなら大丈夫でしょう。 「サンジは?」 「え?サンジ君も来てるの?」 まだ到着してない?・・・って事は、あいつ中で何かやってるな。 「・・・」 「ん?」 「ここから逃げるには、ウェイバーで飛ぶしかないと思うの。」 「飛ぶ!??」 「森の真ん中の島雲まで届けば・・・」 バリリィッ!!! 「ぎゃあああああ!!!」 「「ウソップ!!」」 ナミと話し込んでる間に、ウソップが攻撃されてた。ごめんよ・・・決して忘れてたわけじゃないからね。 「お前か・・・」 「えっ?・・・うわっ!?」 ウソップに駆け寄った私に向かって、攻撃を仕掛けてくるエネル。 このまま、私だけ避けるわけにはいかないよね・・・ウソップに当たってしまう。仕方ない・・・ ゴンッ! 「いってぇ!」 「ごめんっ!」 思いっきりウソップを突き飛ばしたら、頭をぶつけたらしい・・・わざとじゃないってば! エネルが私だけに集中して攻撃してくる。 何とか反撃したいんだけど、奴は雷。おそらく触れただけで感電してしまうんだろう。 「ねぇ・・・どうしてって全部避けられんの?」 「そりゃおめー、あいつが強ぇからだろ。」 「え?だって心綱が・・・あっそうか!」 「おう、エネルの心綱でも、の動きは読めないみてぇだな。」 あんた達・・・悠長に解説してないで、逃げる準備しなさいよ! って・・・声に出して言えないのが悲しい!!! 「じゃあ、どうしてエネルはばっかり攻撃してるのかしら?」 「そりゃあれだろ。不気味な存在はさっさと始末してぇんだ。」 不気味な存在で悪かったわね・・・ 「でも、って体力・・・・・」 「・・・お前、ウェイバーの準備しろっ!」 「うん!」 やっと気付いてくれたみたい・・・良か・・っ!!! その途端、エネルの攻撃が私から逸れてウソップへ! 「うぎゃあ!」 「「ウソップ!!」」 私への攻撃の合間に、ウソップへと襲いかかる。 エネルには、ウソップの行動は読めるから、それは簡単に決まってしまう。 「!ウソップ!準備できたわ!」 ナミ! ・・・でも、ウソップは倒れたまま動かない。今の私の体力じゃあそこまでウソップを担いで行くのは無理。 しかもエネルは、ウソップの後ろから、今にも攻撃しそう。どうすれば・・・ 「っ!?・・・サンジ?」 「ちゃん、ごめんよ。」 「え?・・・うわっ!?」 いきなり誰かの腕が腰に回ったので、驚いて振り返ったら、そのままぶん投げられた。 投げた相手がサンジだったから、私の身体は当然ナミの所へ・・・ バンッ! ・・・痛い・・・ 「!」 「ちゃん、大丈夫かい!?」 体力の減ってる時に、そんな事されて・・・見事に着地出来るわけないじゃない・・・ タンッ! あ・・・今度はウソップが蹴られてる・・・ ドカッ! あらら・・・ウソップも着地なんか出来るわけないよね。 「サンジも早く・・・っ!?」 ヤバイっ!エネルがかなりご立腹みたい。今にも攻撃しそうだ! 「サンジ!」 「行け。」 ・・・・・え? 「サンジ君!!!」 「ナミ、出せ!!!」 ウソップ!? 「待ってよウソップ、どうしてアクセルを、サンジ君が!」 「ウソップ離して!私も残るよ、まだ戦える!」 「いいんだ、逃げるんだ!」 「「ウソップ!?」」 「お前らは!男の覚悟を、踏みにじる気か!!!」 あいたたた・・・ 「!・・・大丈夫?」 「うん、大丈夫。ナミは?」 「私も平気。」 ナミが私の手を取って立たせてくれる。う〜〜〜体力限界に近かったみたい。 「あれっ、ウソップは?」 「・・・あそこ。」 「え?」 おやま、私達には逃げろって言ったくせに、あいつはまだあの舟にぶら下がってんじゃない。 「どっちも男だね。」 「ホント。」 「「あっ・・・落ちてきた・・・」」 落ちてきたサンジとウソップを拾い、ゾロ達と合流するために、大きな蔓の根元を目指す。 「あ、あれ!」 「アイサ!」 「ロビン!」 良かった・・・2人共無事だったんだ。って、えぇ!? 「ゾロ!チョッパー!」 「変なおっさん!げっ、ゲリラ!」 ウソップ・・・いいかげん、変なおっさんはやめてあげようよ・・・ それにこの人、確かワイパー。このメンバーでもこうなってしまったなんて・・・ ナミを助けに再び舟へと向かったルフィを、ナミがウェイバーで追いかける。 エネルが一斉攻撃を始めた今、もう一刻の猶予もない。 「、ロビン、こいつらを連れて、急いで船に戻るんだ!」 ウソップの言葉に頷き・・・・・ゾロかあ、重いんだろうなぁ、こいつ・・ん? 「ワイパー!!!」 アイサの嬉しそうな声。気が付いたんだ、良かった。 「剣士さん!」 お? 「変なおっさん!」 お〜! 黄金の鐘。 エネルが最後に狙ってる黄金の鐘のある場所を、ワイパーに説明してるロビン。 この蔓の頂上付近にあるらしい。 ウソップが必死に逃げようと言ってるけど、誰も動かない。だって・・・黄金の鐘って言ったら・・・ 「ゾロ・・・」 「ああ。」 「ルフィも、戻っちゃ来ないわね。」 「だな。」 「なんでだよっ!」 「だって・・・」 『黄金の鐘を鳴らしたら、下にいるおっさん達にも聞こえるよなー』 私達お宝探し班がまだ5人で歩いてた、あの大蛇に出くわす前、ルフィはそう言って笑ってた。 「それにロビン、ルフィにも言ったんでしょ、黄金の鐘がある場所?」 「え、ええ・・・でも・・・」 「やると言ったらやる奴だ。誰にも止められねぇよ。」 そう・・・いくらナミが止めたって、止まる奴じゃない。 あの黄金の鐘を鳴らすまで、ルフィは絶対に諦めない。 「でもよ・・・さっきみたいな雷雲の爆発があったら・・・」 エンジェル島を消滅させてしまう程の力。あれをまた落とされたら・・・ 「それでもあいつは戻っちゃ来ねぇぜ。」 「ゾロ・・・」 「おい、危ねぇ!何か落ちてくる!」 え?・・・何だありゃあ・・・葉っぱ? 「あっ!ルフィとナミからのメッセージだっ!」 「何て書いてあるの?」 『この巨大な蔓を西に切り倒せ』 ・・・はい? これを西へ倒したら、どうなるわけ? その前に・・・どうやって切り倒すのよ、こんなに大きいのを・・・ 「うわっ!見ろあれ!」 ウソップの叫び声に見上げると・・・うそでしょう・・・? さっきエンジェル島を消し去ったのよりも、数倍大きな雷雲。あれを落とされたら・・・でも、 「この蔓を西へ倒してどうするんだろ?」 「そりゃ・・・船へ飛ぶんだろ。」 へっ!?思わずゾロをまじまじと見てしまう。 って事は、倒れかけた蔓を渡って、船まで飛ぶって事? ふむ・・・ナミが折れたって事か。 ナミのウェイバーじゃなきゃ、いくら何でもあそこまでは飛べないもんね。 「ゾロ・・・」 「あ?」 「刀1本貸して。」 「・・・・・」 ゾロは何も言わず、じっと私を見てるけど、ウソップが騒ぐ、騒ぐ。 「!?お前一体何を考えてんだよ!」 「私のじゃ無理だもん。ロビン、持っててくれる?」 「ええ。」 ロビンに剣を渡して、ゾロをまっすぐ見つめる。 「私も、一緒にやる。」 「・・・・・ほらよ。」 ポンと、1本の刀を投げてくれるゾロ。 「ありが・・・えぇ!?」 ちょっと待ってよ、これ!? 『和道一文字』 これってくいなの形見の刀じゃない、これは借りられないよ! 「ゾロ!これはくいなの・・・」 「構わねぇよ、お前なら。」 「でも・・・」 「構わねぇ。」 「ゾロ・・・ありがとう、借りるね!」 「おう。」 ぎゅっと和道一文字を抱き締める。 まさか、これを貸してくれるとは思わなかった。 三代鬼徹はやっぱり恐いから、雪走を貸してもらおうと思っていたのに。 信じてくれて、そして認めてくれた、ゾロの気持ちが本当に嬉しい。 「よし、行くぞ!」 「うん!」 ドドドォォン! 「うわっ!」 「!」 「大丈夫!」 ちくしょう、エネルの奴・・・無差別に雷を落としやがる。 「!俺は右を切る、お前は左を切れ!」 「了解!」 ズババン! ズババン! 「やった!切れ・・・っ!!!」 うそっ雷!?ヤバイ、避けられない! 「!!!」 ボッコォォォン!!! 「〜〜〜!ゾロ〜〜〜!」 ガッシャアン! いたぁ・・・下の遺跡まで落ちてきちゃったみたい。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・何で、私無事なの?エネルの雷の直撃を受けたはずなのに・・・ それに私、何かに包まれてる・・・? っ!?うそっ! 「ゾロ!!?」 ゾロの両腕がしっかりと私を抱いてる。まさか・・・私を庇って!? 「・・・ゾロ?・・ゾロ!?」 「・・・・・・」 「ゾロ!!!」 「お前・・・平気か?」 「私は大丈夫。ゾロの方こそ!」 「そうか・・・良かっ・・・」 「ゾロ!?」 気を失ったみたい・・・少しでも安全な場所に移動したいんだけど、強く抱き締められてて身動き取れない。 そういえば、久し振りかもしれない、こんな風に、守られてるって感じるのは。 あれ・・・何だろう・・・私も・・・意識が・・・・・ 「んっ・・・ん?」 私、気を失ってた? 「くっ・・・」 「ゾロ!」 ゾロがゆっくり起き上がり、ガレキに背を預けて座りこむ。 あれ・・・明るい。あの雷雲が消えてる? おっと、それどころじゃなかった。ゾロの身体・・・やっぱりヒドイよ・・・ 「ゾロ・・・ごめ・・・」 「あやまんな。」 「え?」 ・・・謝るな?そんな事言ったって・・・あっ、そっか! 「じゃあ、ありがとう。」 「おう。」 カラァーン!!! え?この音は・・・ 「ゾロ!」 「ああ。」 ルフィはやったんだ! なんて綺麗な音・・・ 空に鳴り響く黄金の鐘の音。これはきっと、400年前から変わらない。 この音はきっと、下にいるクリケットさん達にも届いたはず。 「おい、。」 「え?」 「あれ。」 ん?・・・ワイパー? 「何か知らねぇが、必死だったぜ。」 「そうなの?」 「ああ。」 「ふ〜ん・・・」 彼らにとって、ううん、彼にとっても、きっとこの鐘の音は、意味があるんだ。 「ちゃ〜〜〜ん!!!」 あっサンジ! 「サンジ!気が付いたって、何!?」 ど〜して私は、サンジに抱き締められてるわけ? 「無事で良かった・・・怪我はない?」 ああなるほど。ウソップにでも聞いたんだな。私が雷の直撃を受けたと思ってただろうから。 「うん、私は大丈夫。」 「良かった〜〜〜心配したんだよ。」 「ありがとう。」 「、本当に怪我はないのか?」 およっ、チョッパーも気が付いたんだね、良かった。 「私はね。それよりあっち。」 と言いながら、ゾロを指差す。 「ゾロ!!!」 神官達の食料をお土産に戻って来た、ルフィ、ナミ、そしてコニスと合流し、 無事だったパガヤさんとも再会した。 そして今、目の前では相変わらずの大宴会。 これをやらなきゃ終わらないって感じね。 そう、終わり・・・私が彼らと航海するのも、これで終わり。 空島から戻ったら、私は赤髪海賊団の船に戻る。 楽しかったよ。皆と一緒に空島まで来て、本当に良かった。 ありがとう。皆、大好きだよ。きっとまた会えるから、その時はよろしくね。 |
ここまで読んで下さってありがとうございました〜!
空島編の最終話でございます。
お付き合いありがとうございましたm(__)m
今回のお話は、前半サンジ贔屓後半ゾロ贔屓になったなぁと・・・(笑)
だって・・・サンジの『恋の試練』発言とゾロに『和道一文字』を借りるってのを書きたかったので♪
最終話は完全にゾロ贔屓のお話ですね〜沙姫はゾロが好きなのでつい・・・(爆)
ウソップとも絡めましたが、ここまできて・・・一番船長と絡めなかった事が判明。ごめんよルフィ(^^;)
とりあえず、ここで麦わら海賊団の皆とは別れます。そして赤髪海賊団に戻ります。
続きは・・・本編の第二部でって感じになりますでしょうか。でも・・・いつになるんでしょう?(爆)
少しでも萌えていただけていたら嬉しいです!
ありがとうございました〜〜〜!!!