【 空島編 F 】





あっちゃあ・・・ゾロともはぐれちゃったよ・・・

あまりにもヤギ神兵達がしつこかったから、ついムキになっちゃった。





パラリラ パラリラ〜♪♪♪





な、何?何の音?

「あっ!さん!?」
「えっ?・・・あっ!コニス!パガヤさん!」
「へそ!」

・・・なんちゅう派手な登場の仕方をするの、この人達は・・・あれ?

「その子・・・誰?」











「シャンドラの子なんだ。」
「はい、アイサさんです。」
「・・・・・・・・・・・」

な、なんだろう・・・この子、さっきからずっと私の顔をじ〜っと見てる。

「彼女のウエイバーが壊れて、空魚に襲われている所に私達が。」
「通りかかったんだ。」
「ええ。アイサさんは不思議な力が使えて・・・」
「不思議な力?」



「あんた・・・何者?」



「え?」

今まで黙っていたアイサが、私を睨みつけるように見上げて聞いてくる。
しっかし・・・そんなに震えるほど、私って怖いの?

「あんたの声・・・聞こえない。」
「・・・声?」





身体が発する声を聞く力・・・それが心綱。・・・いまいち分からないけど、

「じゃあ、身体が『次はこういう動きをするぞ〜』って教えてくれるわけ?」
「うん。・・・でも、あんたの声は聞こえない。全然・・・」

ふ〜ん、なるほどね。あの神官が攻撃してこなかった理由はこれか。
自分の心綱の力に絶対の自信があるからこそ、あんなに近い場所に居て全く声の聞こえない私の存在が不気味だったんだ。
何をしてくるか分からないから、攻撃する事さえ出来なかったって事ね。
って事は、あのまま他の試練を受けてたら、誰かは攻撃してきてたんだろうな・・・
自分の力自体に絶対の自信がある奴は・・・

「ねぇ何で?あんた生きてるのに!動いてるのに!・・・何で?」

ん〜・・・『何で?』って聞かれてもなぁ・・・心綱の存在さえ、今初めて聞いたのに・・・

「それは多分・・・私が特殊だから。」
「特殊?」
「うん。」

私はこの世界の人間じゃないから、それがどう作用してるのかは分からないけど。

ん?・・・ちょっと待てよ。って事は・・・

エネルや他の神官達にも、私の存在は気付かれていないって事?
あ、違う・・・エネルは会話さえ聞こえるんだった。
でもそれはそれで不気味だよなぁ・・・心綱で存在は確認出来ないのに、会話だけは聞こえるって事だもんね。















「あっ!さん、見えました!」
「ホントだ〜♪」

ゴーイングメリー号が見える。良かった・・・とりあえず合流出来た。

それにしても・・・

「凄いね、アイサの力って。」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

また、膝を抱えて震えてる。
今まで聞こえてた仲間達の声が、どんどん消えていく・・・か。
考えただけで背筋に冷たいモノが走る。
それをこんな子供が、しかも仲間達だけじゃなく、全ての人の声を聞いてるなんて・・・

今、この森の中の状況を考えると、震えが止まらないのも当然か。





「ナミ!」
!?何であんたがこんなトコにいるの?」
「はぐれた。」
「はぁ?」

とりあえずナミに事情を説明する。もちろんアイサの事も。

「そっかぁ・・・ゾロと一緒じゃはぐれるわよね。でも良かった。」
「ん?」
「私1人でどうしようかと思ってたから。」

・・・1人?

何?あの黒コゲの物体は・・・うそっ!?

「サンジ!?ウソップ!?」

どうやったらこんな状態になるの?
あの神官の攻撃を受けた時も、ここまではならなかったのに・・・

「兎に角応急処置をしないと。」
「そうね、コニスも手伝って!」
「はい!」

この状況に、森の奥に入ると騒いでたアイサも大人しくなる。

「一体・・・誰が?」
「エネルよ。」
「っ!?・・・そうか、それでガンフォールさんは、エネルを追って行ったんだ。」

コクンと頷くナミ。姿が見えないから、おかしいとは思ってたけど、なるほどね。










それにしても、サンジとウソップのこの状態は何?しかも、一瞬で?それって、



・・・まるで落雷・・・



あのゲリラは・・・アイサがワイパーって言ってたっけ。ワイパーは悪魔の実の存在を知ってた。
つまり、ここにも悪魔の実はあるんだ。
エースは炎を操る。それと同じように、雷を操る実があってもおかしくない。

エネルは悪魔の実の能力者?それも・・・雷って事になるのかもしれない。










「ナミさん!アイサさん!」

コニス?
サンジ達が寝ている部屋を飛び出すが、甲板にナミ達の姿がない。

「コニス!一体どうしたの?ナミ達は?」
「それが・・・突然『空の主』が襲ってきて、ウエイバーで森の中へ・・・」
「空の主?」
「はい。とてつもなく大きな大蛇です。」

あれか・・・って、そんな事より!

「森の中へ入っちゃったの!?」
「はい・・・」

ナミ達が入って行ったという森の方を見るけど、ナミ達どころか大蛇の姿さえ見えない。

「追えない・・・よね?」
「はい・・・あのウエイバーには『噴風貝』というのが搭載されてましたから、とてもおいつけません、すみません。」

パガヤさんがそう言うのなら、追いつけないんだろう。仕方ないな。

「そっか・・・じゃあとりあえず、この船を北東の海岸に。手伝ってもらえる?」
「「 はい!! 」」










待ち合わせの海岸に船をつけ、皆が戻ってくるのを待つ。
ルフィ達と一緒にお宝探しに行ったはずなのに、ど〜して私が船番してるかなぁ。

サンジ・・・ウソップ・・・

2人共、まだ目は覚まさないけど、呼吸はしっかりしてるからちょっとは安心・・・かな。
早くチョッパーが帰ってきてくれないかなぁ・・・



しっかし・・・ラッパうるさいよなぁ・・・
















「スーーー!!!スーーー!!!」

な、何?スー?

「これってスーの声だよね、どうしたんだろ?」
「さあ?どこか痛いのかしら?」

コニス・・・スーって見張りしてくれてたんじゃなかったっけ?



ドサッ



え?・・・あれっ!?

「コニス!パガヤさん!あれ・・・あそこ・・・人が倒れてる!!!」





あの倒れてた人、どうやらエネルに捕まってた神隊の人らしい。
そうなると、私は傍にいない方がいいよね、一応青海人だし。
私がいたら、あの人も言いたい事言えないかもしれないから・・・





ズンッ!!!





な、何?この揺れ・・・今の音のようなもの・・・

「コニス!パガヤ・・・」

甲板に出てみたら、そこには大きな・・・穴?あっ、あそこ!

「コニス!」
「父上〜〜〜!!!」

え?・・・まさか・・・パガヤさん・・・

「コニス!一体何があったの!?」
さん・・・父上が・・・」










このスカイピアを青海に落とす?

空に住む一切の人間を消し去る?

そして、自分だけが方舟で?

・・・ふざけるな!!!










「コニス!泣いてる場合じゃないわ!」
さん・・・?」
「この事を伝えないと!何も知らない島の人達に!」
「あ・・・」
「出来るわね?」

涙を流しながらも、コクンと頷き戻って行くコニス。
酷な事を言ってるって事は、十分承知の上。でも・・・あなたにしか出来ない。

私がいくら必死になって言ったって、誰も信じてはくれないだろう。

コニス・・・あなただけなの。お願い・・・

辛いだろうけど・・・頑張って・・・












どうしよう・・・サンジとウソップと船の事は、スーに任せて・・・
って、任せて良いのか分からないけど、私も森の中へ入ってみようか。
ここでじっと待ってるなんて、どうにも我慢出来そうにないし。





っ!!??





な、何・・・?舟?・・・飛行船?

何でこんな森の中から飛行船が?一体何が起きているの・・・っ!?あれは・・・

「ナミ!!!」










チラッと見えただけだけど、あれは間違いなくナミだった。
どうしてナミがあの飛行船に乗ってるの?どう考えても、あれはエネルの持ち物。

助けなきゃ!



ちゃん!」
「えっ!?」

船から飛び降りようとした私の腕を、掴む手。

「サンジ!気が付いたのね、良かった・・・」

って、そんな場合じゃないってば!

「私、ナミを助けに行ってくるから、後をお願いね!」
「ナミさんを!?」
「そう!あの舟に乗ってるのがチラッと見えたの。急いでるんだから、離して!」
「俺も行く。」
「なっ!?」

いくら気が付いたって言っても、動けるような状態じゃないんだよ、サンジは!!!

ちゃんを1人で行かせられるわけないだろう!」
「今のサンジより、私の方が間違いなく強い!」
「それでもだ!!!」

一緒に行くと言わない限り、手を離してはくれないんだろうな。
・・・ああもう!こんな事してる時間も惜しいのよ!

「・・・分かった。」
ちゃん!」
「そのかわり!」

ビシッと人差し指をサンジの胸に突き付ける。

「あんたはナミを助ける事だけに集中する事。」
「え?」
「サンジの事は、私が守る!」
「・・・ああ、頼んだ。」
「よし!」

さてと・・・それじゃあって、えっ?

・・・サンジさぁ〜〜〜ん?どうしてまた、船内に戻るのですかぁ?





「おい!ウソップ!起きろ!!!」





ちょっと待て!!!
ウソップだってサンジ同様動ける状態じゃないって言うか、まだ気が付いてもいない奴を、無理矢理起こすなぁ!

「ちょっとサンジ!・・・って、ありゃりゃ・・・」

ウソップ・・・しっかり叩き起こされちゃってるよ。

!?何でお前がここにいるんだ?」
「はぐれたから。」
「はぁ???」

それを説明してる暇なんかない!

「サンジ!ウソップも連れて行くつもり?」



「当然!」 「何処へ?」



頷くサンジと、首を傾げるウソップ。

ちゃんは、どうやってあそこまで行くつもりだったんだ?」
「うっ・・・」

まったく・・・全然・・・考えていませんでした・・・

「ウソップなら、ほら・・・腹から出すロープがあるじゃねぇか。」

あ、なるほど。
ウソップの肩をポンと叩いて、

「仕方ない。一緒に行こう。」

「何処へだよ!!!」












ここまで読んで下さって、ありがとうございました〜!
空島編7話目でございます。
今回のお話で、どうしてヒロインちゃんが神官に攻撃されなかったかってのは、出しました!
そんなに謎でもなんでもなかったんですけどね・・・期待していた方には申し訳ないです(爆)
個人的には、後半のサンジ&ウソップとのやりとりが、大好きです。もう・・・楽しかった(笑)
一応、この空島編は全8話です。
次が最終話になります〜次回は・・・私が一番書きたかったのを書く予定です♪
少しでも萌えていただけたら嬉しいです!