【 想 い @ 】 さてと・・・犬夜叉のビデオ、溜まっちゃったよな〜 そろそろ観ておかないと・・・毎週増えるんだよね、30分ずつ・・・ ビデオテープをセットしてっと。 「・・・・・あれ?」 テレビがつかない?・・・ビデオデッキの電源も入らない?・・・何で? っ!? な、何でいきなり真っ暗?今、夜じゃないのに・・・ それに、私に纏わりついてる、この気配は? やだ・・・気持ち悪い・・・ 「えっ!?やだ、何!???」 いきなりの浮遊感。そして・・・ 何かに、引っ張られてるような、引き寄せられてるような感覚。 纏わりついてる、あの気持ち悪い気配もそのまま・・・ 怖い・・・ 行きたくない・・・ いや・・・ 誰か・・・ 誰か助けて!!! シュッ! え?・・・光? って、うわっ!? 「キャーーーーー!!!!!」 ズサッ バキ バキ バキ・・・・・ドサーッ 「い、痛い・・・」 腕やら足やら腰やら頭やら・・・兎に角身体中が痛い・・・ 一体何なわけ〜〜〜?・・・あれ、影? って・・・え? 私の目の前に影があるから、誰か居るのかと思って顔を上げたんだけど・・・ うそでしょ?この人・・・どう見ても・・・ 「殺生丸・・・?」 ギクッ! 私が殺生丸の名前を呼んだ途端、一瞬細められる瞳。・・・こわっ! 「きさまっ!殺生丸様を呼び捨てにするなど・・・」 ん?あ・・・ 「邪見・・・」 「ん?」 という事は、もしかして・・・あ、居た。 「りん・・・」 「はい!」 いや・・・返事されても困るんだけどね・・・ 「やはりな。」 「え?」 「奈落の匂いがする。」 「この女から、奈落の匂いが!?」 はい〜〜〜??? な、なんで私から、奈落の匂いがするの? 「それでは、こやつは奈落の手の者で?」 ゲッ!何て事を! 「いや、違うな。」 え?・・・殺生丸? へ?うわっ! 何? 「行くぞ。」 「は?」 殺生丸の腕が私の腰に回って、引き寄せられ・・・って言うか、空、飛んでるんですけど・・・ 怖いってば! 「はい、殺生丸さま。邪見さま、早く!早く!」 「ちょ、ちょっと待て、りん!」 いつまで飛んでるつもりなんだろう・・・ 殺生丸にしがみついてるこの体勢。怖いと言うか、恥ずかしいと言うか、何と言うか・・・ 「奈落が、何かを連れ去る気配がした。」 「え?」 奈落が連れ去る気配?私を連れ去ろうとしていたのは、あの気持ち悪い気配は・・・ あれは、奈落だったの? あの時の気配を思い出し、身体がゾクッと震える。 あ、もしかして・・・あの時助けてくれた、光は・・・ 「あの・・・殺生丸が助けてくれたの?あの光は・・・殺生丸が?」 「助けるつもりなど、無かった。」 「うっ・・・」 そうだよなぁ・・・殺生丸だもんなぁ・・・あれ?・・・じゃあ、何で? そう思いながら見上げたけど、真っ直ぐ前を見たまま、全然こっちを向いてはくれない。 「声が・・・聞こえた。」 「声?」 ・・・そこで黙られてしまうと、非常に気になるのですけど、これ以上は教えてくれないんだろうな。 「・・・名は?」 「え?ああ・・・。」 「・・・・・・」 「あ、あの、殺生丸・・・」 「・・・・・」 「あの・・・助けてくれて、ありがとう。」 「・・・・・」 見上げてお礼を言った私の方に一瞬目をやり、でもそれはすぐに前方に戻された。 漸く降りた場所は・・・・・温泉? 「その匂いを消せ。着物もだ。」 それだけ言うと、邪見を連れて何処かへ行っちゃった。 嬉しそうだったな〜邪見。 えっとつまり、温泉に入って身体を洗えって事か。 ついでに洗濯しろって事だよね。ふむ・・・ 「りん、一緒に入る?」 「うん!」 ん〜〜〜気持ち良い〜〜〜 天然の露天風呂ってやつだよね。 「ねぇ、りん。私が落ちてきた時の事、話してくれない?」 「はい!」 いや・・・わざわざ立たなくていいからね・・・ 「殺生丸さまがず〜っと、空を見ていたの。」 「ずっと空を?」 「うん。それでね、急に飛び上がって、剣で空を切ったの。」 「剣で・・・」 「そしたらね、切った所から、さまが落ちてきたの。」 また・・・『さま』って呼ぶ・・・何度言っても、やめないんだよね、この子。 っと、それより、やっぱりあの光は殺生丸だったんだ。彼の剣の光。 でも、どうして急に飛び上がったんだろう・・・声がしたって言ってたけど・・・誰の声? 「りん、その時声は聞こえた?」 「声?」 う〜ん・・・と考え込んだ後、りんは『ううん』と言いながら首を振る。 殺生丸だけに聞こえた声って事?やっぱり奈落の声? 何か・・・気になる・・・ どうしよう・・・私、何を着ればいいわけ? Tシャツはすぐに乾くとしても、Gパンは・・・どう考えても無理だよね。 「あっ!殺生丸さま、邪見さまお帰りなさい〜!」 ゲッ!あの2人が帰ってきたんだ! いつまでも、こんな格好で温泉につかってるわけにもいかないし・・・どうしよう・・・ 「さま〜!」 「りん?」 りんが何かを持って駈けてくる。何だ? 「殺生丸さまが、これを着ろって。」 ・・・着物? これを取りに行ってくれてたの?・・・って、これって誰のなんだろう・・・ ん〜〜〜でも、このままじゃのぼせちゃうし、借りちゃおっと!・・・貰っちゃおの間違いか? 「こんなもんかな〜っと。」 とりあえず着物を着て、殺生丸達の所へと行くと・・・邪見が魚を焼いている・・・ 「おっ、着替えたか。ほら、お前の分もあるぞ!」 「え?あ、ありがとう・・・」 着物を取りに行ったついでに、魚も捕ってきたのかなぁ・・・? んでも・・・美味しい♪ 阿吽に寄りかかって眠る、りんと邪見。でも、私は眠れない・・・ 「・・・はぁ。」 「・・・どうした。」 「え?・・・殺生丸、起きてたの?」 木に寄りかかって目を閉じてたから、寝てるのかと思ってた。 りんと邪見を起こさないように、そ〜っと殺生丸の隣に移動する。 「あのね・・・目を覚ましたら、誰も居なかったって事には、ならないよね?」 だって、だって・・・やっぱり怖いよ。こんな場所で1人になったら、私は絶対に生きてはいけない。 そして、何より怖いのは・・・えっ? 「せっ、殺生丸???」 殺生丸の右手が私の身体に回り、胸元へと抱き寄せられてるのですが・・・? 「これならいいだろう。」 「へ?」 「私が動けば気付く。」 ちょっと待て!この体勢で寝ろって事か? それこそ眠れるかぁ!!! 「例え、奈落が来てもな。」 っ!? ・・・殺生丸・・・気付いてたんだ・・・ そう・・・私が1番怖いのは、再び奈落が襲ってくる事。 あの時の、私の身体を包んだ気配を、どうしても忘れる事が出来ない。 「寝ろ。」 「うん・・・」 素直に頷き、目を閉じる。殺生丸が何を考えてるのかは、分からないけど、 それでも、今日からここが、ここだけが、私が安心して眠れる場所。 おやすみなさい、殺生丸・・・ |