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【 宿命 ⑩(同盟軍編)】





ジョウイ・・・どうして・・・

沙姫さん!」
「え!?」

ナナミの声に、呆然とジョウイが走り去って行った方向を見つめていた事に気付く。
今は、そんな事してる場合じゃないってのに!

沙姫さん、アナベルさんが・・・」

今度はリオウが私を呼ぶ。アナベルが・・・私を・・・?
私が近付くと、スッとナナミが場所を空けてくれる。そこへ跪くと、

「・・・あんたが・・・沙姫?」

その問いにコクンと頷く・・・けど・・・

どうしてアナベルが私の名前を知ってんの?

「ビクトールから・・・聞いたよ・・・」



あんの熊!!!


私の事を言うわけにはいかないって言ったのは誰だよ!!!
まぁ、実際に言ったのはフリックだけど、その為に私を連れて行かなかったんじゃないのか!

「あんた・・・良い女なんだってね・・・」

・・・は?アナベルさん?こんな時に一体何の話?

「・・・アナベル?」
「あんたは・・・分かってる・・よね?・・・今の・・・この状態・・・」
「・・・・・」
「・・・頼んだよ・・・」

こんな状態でも、光を失わない真っ直ぐな瞳。良い女ってのはアナベル、あんたの方じゃないか・・・
安心させるように、にっこり笑って頷く私に、彼女も漸く笑顔を見せる。





『早く逃げろ!』と言うアナベルの言葉に従い、外へと出た私達の前に立ち塞がるのは、王国軍の兵達。

沙姫さん、下がってて!」

私を庇って戦う、リオウとナナミ。そうか・・・これって・・・



沙姫!」
「え?・・・っ!?」



・・・び、びっくりした・・・



私を捕まえようと手を伸ばして・・・たのかな?その王国兵の身体が吹っ飛んだ。
んで、今、私の目の前には、1本の足。・・・ビクトールかぁ・・・

「大丈夫か?」

ポンと私の両肩に手が置かれて、仰ぎ見るとそこには、

「フリック・・・うん、ありがと。」



こいつらが来てくれたからもう大丈夫だと思ってたんだけど・・・ちょっと、あんた達・・・

私を助けてくれたのは、ありがたい。うん、本当に感謝してる。・・・でもね、

ど~して!その後!私と一緒にリオウ達が戦ってるのを傍観してんのよ!

「・・・ビクトール?・・・フリック?」
「あ?」
「何だ?」

こ、こいつら・・・素で聞き返すな!!!





「おっと、こんな事してる場合じゃねぇんだ。」

『早く逃げろ!』『サウスウィンドゥで落ち合おう』と言って走り去って行く2人。





あのさぁ・・・サウスウィンドゥって・・・何処?





途中、ピリカちゃんを迎えに行って、4人でミューズを抜ける。
そして、大きな木の根元で、夜を明かす事にした。夜移動するのは、あまりにも危険だから・・・



ピリカちゃんを抱き締め眠るナナミの横で、リオウが星空を見上げてる。

この状況はきっと、運命の輪が廻り始めたって事だろう。

やっぱりリオウとジョウイが宿したのは、27の真の紋章って事・・・なんだろうな。
そうなると、まだまだ過酷な現実が待ってるって・・・事か。

「・・・沙姫さん・・・」
「ん?」
「ジョウイは・・・・・」

そこで止まってしまったリオウに、彼の心の中の憤りを感じる。
ジョウイを止める事が出来なかった自分を責めてるのかもしれないな。

「多分ね・・・ジョウイとリオウが求めてるモノは、根本的には同じだと思うよ。」
沙姫さん?」

縋るような目をして私を見つめるリオウ。

「でも、ジョウイは別のやり方を見つけてしまった。」
「・・・・・」
「また、会えるよ。」
「うん・・・でも、その時は・・・」
「そうだね。戦わなきゃいけないかもしれない。」
「・・・・・」
「でもね、リオウ。」
「何?」
「ジョウイを信じなさい。」
「・・・え?」
リオウとナナミが信じないで、一体誰がジョウイを信じるの。」
沙姫さん・・・」
「私は信じられるよ。だって、ジョウイはジョウイだもの。」
「ジョウイはジョウイ・・・」

リオウの表情に少しずつ生気が戻ってくるのが分かる。
パッと私を見つめたその瞳に、もう迷いは見えない。

「そろそろ寝ましょう。明日も早いよ。」
「うん。・・・おやすみなさい。・・・ありがとう、沙姫さん・・・」
「・・・おやすみ。」



















翌日、ココスの村に着いたのはいいんだけど・・・・・

「船が出ない~~~!?」

・・・ナナミ、落ち着いて・・・

サウスウィンドゥには、ここから船で行くしかないらしい。
・・・けど、王国軍が船を出す事を禁じてるって事なんだよね。



さて・・・どうするかな。



「とりあえず、宿屋に行って考えようか。」
「「うん!」」





「「 あっ・・・ 」」

「え、何?」

宿屋に入った途端、ハモったリオウと私に、ナナミがキョロキョロ辺りを見回す。

リオウ!」
沙姫さん。」
「久し振りだぁ~~~!」

アイリ、リィナ、ボルガン。以前出会った、旅芸人達。こんな所でまた会えるなんてね~





「何だ、あんた達もここで足止めくらってんの?」
「そうなんだよ!どいつもこいつも・・・」

うわぁ・・・アイリってば、かなりご立腹だ。

「じゃあ、こっちも探してみるから、そっちも見つけたら頼むね。」
「ああ、分かった。」
「ええ、宜しくね。」

アイリ、リィナと頷き合い、外へ出てとりあえず村の中を歩いてみる。



「王国兵が・・・」



村の所々で王国兵が我物顔で徘徊してる。

奴らが私達の顔を知ってるとは思えないけど、船を出そうとすれば、見咎められるのは必須。
そうなると、厄介だよな・・・

「あっ!こっちにも道があるよ!」

ナナミが指差す方向に、確かに道はあるけど、いわゆる村外れってトコに出るんじゃないの?

「どうする?」
「行ってみよう。」

問いかけた私に、間髪入れず戻って来たリオウの返事。
この子の勘は、信じるべきだよね。



「あれ・・・小屋?」
「そうみたい・・・あっ、誰か出て来たよ。」



・・・・・え?



あれは・・・まさか・・・シーナ?



沙姫さん?知ってる人なの?」

えっと・・・知ってると言うか、何と言うか・・・

それよりも、今、シーナは何て言ってた?『船を出してくれても』?
あの小屋の中にいるのは・・・もしかしたら・・・

リオウ、ナナミ、ピリカちゃん、あの中に入ってみよう!」
「うん。船を出してもらえるかもしれないし。」
「うん、入ってみよう!」






入った瞬間、ピリカちゃんは私の後ろに隠れ、ナナミは固まってしまった。

そんなに恐いかねぇ・・・こいつら・・・

中にいたのは、思った通りタイ・ホーと、ヤム・クー。
こいつらなら、船を出してくれるかもしれない。



って、確かに思ったけどさ、ど~してサイコロ勝負なのさ!
ホントに、タイ・ホーは相変わらずなんだなぁ・・・

でも、タイ・ホーさえ『うん』と言ってくれたら、ヤム・クーも文句を言いながらもやってくれるから。

リオウ!」
「うん、やってみるよ!」

大丈夫だよ、君は主人公だからね。幻水の主人公って、運の数値は絶対に高いから。





「3だ。」

タイ・ホーの目は『3』

このチンチロリンってやつ。
3つのサイコロを同時に器の中に入れ、その中の2つが同じ数になったら、残ったサイコロの目が自分の目となり、
その大きさで競う。

1のゾロ目や1.2.3だったら、強制的に負け。とか、4.5.6だったら、強制的に勝ちとか、
そんな細かいルールもあるらしい。

んで、投げられるのは3回。
1つも数が合わなかったら、目なしとなり、それが3回続けば負け。

リオウにとっては、確実に運だけ。

「さぁ、次はお前の番だ。」

リオウにサイコロが渡される。1試合(?)につき掛け金は2000ポッチかぁ・・・

「目なしだ。」

ありゃりゃ・・・

「目なし。」

う~ん・・・やっぱり素人には難しいのかなぁ・・・後1回か・・・あっ!!!

「5だ。」

リオウ!」
「やったぁ!」
リオウ、凄い!」

う~ん、やっぱり2の主人公の運の数値も高かったって事だな。