【 偶然の中の必然 〜帰船〜 】





ふっふっふ〜っ♪



買い込んだ荷物を見ながら、顔がニヤケるのが止められない。

ここのお金の価値ってよく知らなかったんだけど、
私がシャンクスから貰ってきていたのは、かなり多かったらしい。

荷物持ちの人材はしっかり居たから、思う存分ショッピングを楽しんだの。

皆へのお土産も買ったしね!





、嬉しそうだな。」
「うん。かなりご機嫌!」

あっ!ちょっと呆れた顔したな、失礼な!

「でもね〜1つ、欲しかった物が無かったんだ。」
「まだ欲しいもんがあんのか!?」



・・・・・うるさいな。



私が買い込んだ物を、ぐるりと見渡し、それを指差しながら、
「これ以外にって・・・何だ?」
「香水。」
「・・・香水?」
「うん。」





ルフィ達に会って、『ああ、これから彼らはナノハナに行くんだなぁ』って思ったんだよね。
んで、確かナノハナって香水で有名だって言ってたよな〜って思い出してたら、
欲しくなっちゃったのよ、香水が。

だけど、今連れて行ってもらった島には、無かったんだ。

私が見つけられなかっただけかもしれないんだけど、こうなると・・・

すっごく欲しくなってきちゃうんだよね〜はぁ・・・










ん?何だろ・・・?

急に船首の方が騒がしくなったんだけど・・・

「おい、!」
「何?」
「あれ、何に見える?」

指差す方向には、大きな船。しかも、海賊旗を掲げている。

「・・・海賊船?」

また海賊船なの〜?今度はルフィ達じゃないよね。
一応腰に差している、剣と銃の存在を確かめる。
必要に応じて、使い分ける事が出来る様にまではなってるんだけど、

長引くと、ヤバイんだよね、体力無いから・・・
まぁ、このメンバーだから大丈夫だとは思うけど、油断は禁物。

それにしても、ルフィ達に対して戦闘モード全開だったこいつらが、
こんなに呆けているのは・・・何故?





「・・・・・、あれ・・・何に見える?」

へ?な、何なの、一体?

何って・・・どう見ても海賊船だよね、海賊旗も見えるし・・・・・










・・・おいおい・・・










あの海賊旗、この船に掲げてるのと、同じに見えるのは、気のせいか?

「どっかの島で待ってるんじゃなかったの?」
「俺達もそう聞いてたんだが・・・」
「じゃあ、もうそんなに進んだの?」
「いや・・・まだアラバスタ付近だな・・・」

つまり・・・迎えにきたって事?
すれ違いになったら、どうするつもりだったんだ!










「たっだいま〜〜〜!」

私が顔を見せた瞬間、皆の顔に安堵の色が浮かぶ。
そんなに心配してくれてたんだ・・・ありがと。



、お前・・・」
「ん?」

ベックマンの声に振り向くと、シャンクス、ルウ、ヤソップまでが一緒になって、
私が買ってきた荷物を前に、呆然としてる。
やっぱ・・・買いすぎちゃいましたか?
でもね〜クルー1人1人にお土産買ってたら、そうなっちゃったんだもん。

の奴、まだ買い忘れたもんがあったって、ぬかしやがったし・・・」

うっ・・・いちいち言わなくてもいいじゃない。

さってっと、お土産渡して逃げようっと!





「おい、!」

シャンクス?今、お土産渡して歩いてんだけどな〜忙しいんだけどな〜
手招きしてるって事は、『来い』って事か?

色々と買ってもらった手前、今は逆らえません、シャンクスにだけは。

「何?」
「この近くに、香水を売ってる街がある。行きてぇか?」

・・・そこまでバラしやがったのか、あいつら・・・





ここは、アラバスタ付近だって言ってた。
って事は、シャンクスが言ってるのは、ナノハナ・・・でも、今はきっと・・・





?」

訝しげなシャンクスの声に、ハッと我に返る。
一応言っておいた方がいいよね。それでも許してくれるのなら・・・

「さっき、ルフィ達に会ったの。」
「ルフィに?」
「うん。多分今は、ナノハナにいる。」

もう出たかもしれないけど、何となくそう思う。私が今から行くと・・・きっとかち合う。

「ナノハナには、エースもいるの。」
「エースも?」
「そして・・・海軍もいる・・・」
「・・・・・・・・・・」
「それでも、行かせてくれる?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お前は・・・行きてんだな?」

行きたい?・・・うん、行きたい。行かなきゃいけない気がする・・・

コクンと頷いた私の頭の上に手を乗せ、深い溜め息をついてくださる。
でも今回は、無理強いする気は全く無い。
シャンクスが『駄目だ』と言えば、それに従う。でも・・・

きっとシャンクスは、首を縦に振ってくれる。そう確信してる私がいる。










「・・・仕方ねぇな。」

軽い溜め息と共に聞こえてきた声に顔を上げると、苦笑を浮かべたシャンクス。

「ありがとう!」
「だが、覚えとけ。」

急に真剣になったシャンクスに、私も思わず背筋を伸ばす。



「何か、予期しねぇ事が起こったら、そのまま流れにまかせろ。」



・・・予期せぬ事?



「流れに逆らえるほど、お前はまだ強くねぇ。」



その言葉に、コクンと頷く。少し身体が震える・・・

「大丈夫だ。必ず迎えに行くから・・・俺を信じてな。」

私に視線を合わせ、優しく安心させるように笑うシャンクス。

「分かった。シャンクスを信じて待ってる。」
・・・良い子だ。」










例え、誰に捕われようとも、何処に連れて行かれようとも、
シャンクスが、『迎えに行く』と言ってくれるのなら、私は怖くない。

必ず、来てくれるって信じられるから・・・










「それじゃ、行ってくるね!」
「ああ、気を付けろよ。」
「うん。」

私は、再び小船に乗り込み、今度はナノハナを目指す。
香水を買って、そのまま帰って来れるかもしれないけど、多分・・・

不安がないと言ったら嘘になるけど、ワクワクしてる私がいるのも事実。



シャンクス、ベックマン、ルウ、ヤソップ、皆・・・

今回は、帰ってくるのが遅くなるかもしれないから、その時は迎えに来てね。

行って来ます!!!











ここまで読んで下さってありがとうございました〜!
過保護海賊団健在です(笑)
とりあえず、ここで一度赤髪海賊団の船を降ります。と言っても、もう会えなくなる訳じゃないですよ!
基本的に、赤髪贔屓なので・・・(^^;)
一応、次回から麦わら海賊団達と絡んでいきます。
アラバスタのシーンに入り込んでいきますので、完全に設定無視の場面が出てきます。
それでも許して下さる方は、この後もお付き合い下さいませ。