【 偶然の中の必然 〜麦わら〜 】





・・・・・ ヒ マ ・・・・・



基本的に普段って、何もする事がないんだよね〜
まぁ、私が何も出来ない・・・とも言うけど。

おかげで、剣や銃の腕はかなり上がったよ!
だって・・・それしかする事ないんだもん・・・・・

どちらかと言えば、銃の方かな〜10発中8発は狙った場所を射抜ける様になった。
ヤソップにも、『後は、練習あるのみだな』って言われたしね。



問題は・・・剣の方なんだよね・・・



腕自体は上がったんだよ。だけどね、如何せん体力がございません。
すぐにバテちゃうし、力で来られると吹っ飛ばされちゃう。
受身は上手になったけど・・・










「シャンクス〜〜〜ヒマ〜〜〜!!!・・・・・あれ?」

甲板に出てみたら、シャンクスを見つけたんで、遊んでもらおうと思って駆け寄ったら、
小船を降ろしている所だった。

「買い出しに行くの?」
「ああ。」
「ふ〜ん・・・」

買い出しには交代で行く。
まぁ、この大人数で行くわけにもいかないけどね。

私は今まで1度も行った事ないんだよね〜
シャンクス達もいないし、危険だからって事だったんだけど・・・



「・・・私も、一緒に行きたい!」



「・・・・・」



あ、あの・・・返事くらいはしてほしいんだけどな・・・



「欲しい物だってあるし、シャンクスお願い!」
シャンクスの腕を掴んで、必死にお願いしてみる。

・・・と、少し呆れたように溜め息をついて、

「そろそろ言い出すだろうとは、思ってたがな。」

あら・・・バレバレですか・・・










「いいか、銃だけは絶対に離すんじゃねぇぞ。」

「分かった。」

「単独行動は厳禁だ。」

「うん。」

「それから・・・・・・・・・・」

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初めてお使いに行く、子供か私は・・・





「最後に、これを持っとけ。」
「ん?」

これって・・・エターナルポース・・・?どこの?

「俺達が待ってる島のだ。あいつらにも渡してるが・・・」
「うん?」

何で私にも渡すの?1つで十分なんじゃあ・・・?

「あいつらとはぐれたら、それで帰って来い。」

私って・・・迷子になる事前提ですか、大頭さん?










小船に乗っているメンバーの顔を見渡して、つくづく過保護だよなぁって思う。
幹部達こそ乗ってないけど、うちのクルー達の中でも、腕の立つ連中ばっかりだよ・・・
この船の上に掲げている、海賊旗を見ながら呟いてみる。

「私は大丈夫だから、心配しないで待っててね。」

・・・心配するなってのは、無理か・・・





「ねぇ、何処に行くの?」

かなり進んだ気がしてるんだけど・・・

「入口付近の島だ。」

「はぁ???」

何でわざわざ?食料の買い出しなら、近くの島でいいんじゃないの?

「その島に、お前の好きそうな店があるらしいぜ。」
「へ?」

・・・・・まさか、この船って・・・・・

の買い出し船だ。」

やっぱり・・・

「食料の買い出しは、他の人達が行ったのね?」
「そういう事だ。まあいいじゃねぇか、。今日は楽しめよ!」

ホントに、過保護な人達なんだから・・・赤髪海賊団のクルー達は・・・















入口付近かぁ・・・もしかしたら、ルフィ達いるのかな。
あ、でも・・・進路が違うかもね。



「おい、!」
「え、何?」
「気をつけろ、海賊船だ!」



海賊船?



あ、ホントだ・・・船が見える・・・帆にドクロのマークを描いた船が・・・

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あのドクロ・・・麦わら帽子を被ってないか・・・?










その海賊船は、どんどん私達の船に近付いてくる。
こっちのクルー達は、完全に戦闘モードに入っている。私は入ってないけど・・・

だって、やっぱり麦わら帽子を被ってるんだもん、あのジョリーロジャー。



おっ!本当に羊頭に座ってる奴がいる〜!あれって絶対ルフィだ!



!お前は下がってろって言ってるだろうが!!!」

「へ?・・・あぁ、大丈夫だよ。」

「「「「「大丈夫じゃねぇ!!!!!」」」」」

・・・んな、ハモらなくてもいいじゃない・・・





しっかりと横についたゴーイングメリー号。

羊頭に座ってるルフィを始め、ゾロ、サンジ、ウソップ、チョッパー、ナミ、ビビ。
全員が甲板に出てる。

こっちは、『来るなら来やがれ!』って感じなんで、
ウソップやチョッパーは、かなりビビってるみたいだなぁ・・・

前面に出てるのは、やっぱりゾロとサンジ。こいつらも戦闘モードに入ってるみたいだね。

少し後ろから、ナミとビビが見てる。










はぁ・・・一体、何しに来たの、こいつら・・・

さっきからずっと、睨み合いが続いてるんだけど、ちょっと疲れたぞ。

羊頭の方に目を向けると、ルフィを目が合った。
な、何だろう・・・思いっきり『おっ!』って顔をされたんだけど・・・え?



いきなりルフィの腕が伸びたかと思ったら、私の腕を掴んでそのまま・・・



「うわっ!」



気が付いたら、私はルフィの膝の上・・・び、びっくりした。

「ルフィ!あんた何やってんのよ!」
「こんのクソゴム!レディに何て事しやがんだ!」

ナミとサンジの怒鳴り声が響く。

そうか・・・サンジにとっては、私もレディの内に入るんだ・・・ちょっと安心したぞ。

「だってよ、話が分かりそうなの、こいつだけだったから。」
「だからってな・・・」

ああ・・・ゾロが頭を抱えている・・・





「ってっめぇ!」

あ、やばっ!うちのクルー達が切れる!

「待って!」

私の声に、一応動きは止まったけど、今にも飛び掛ってきそうだ・・・

「私は大丈夫だから、攻撃しないで。」

ゆっくり、落ち着かせるように言うと、彼らの纏っていた殺気が消え、その場に腰を下ろした。
私に任せてくれるみたい・・・これで一安心・・・かな、良かった。

「よ、良かったな・・・」
「うん・・・」

あからさまにホッとしているウソップとチョッパー。ごめんね、驚かせて。
・・・って、良く考えたら、あんた達に船長の所為なんだよね・・・





「ねぇ、ルフィ。」
「何だ?」
「とりあえず、降ろしてよ。」
「おう!」

そう言って降ろされた場所は、ゴーイングメリー号の中。流石にあそこは怖かった・・・

「ごめんね、大丈夫?」
「ありがとう、大丈夫よ。ナミ、ビビ。」

駆け寄ってきてくれた、ナミとビビにお礼を言いながら立ち上がると・・・何?
何で2人とも、固まってんの?



「どうして・・・私達の名前を知ってる・・・の?」



・・・・・あっ、もしかして、やばかったのか?

「まさか・・・バロックワークスの・・・?」

なっ!冗談じゃない!

「やめてよ!クロコダイルの配下になんて、入るわけないでしょ!」
「・・・何で、んな事知ってんだ?」

・・・・・私、墓穴掘ってる?

「と、兎に角、シャンクスの船に乗ってる以上、犯罪組織になんて関わらないわ!」
「そうだぞ!シャンクス達はそんな事しねぇ!」

「「お前は黙ってろ!」」

あらら・・・ルフィってば、ゾロとサンジに押え付けられてる。



う〜ん、これは・・・逃げられないって事なんでしょうかねぇ。

・・・仕方ないか・・・










「私、異世界から来たの。」











「「「「「「「 はぁ? 」」」」」」」










お約束の反応をありがとう・・・










信じてもらえるかどうかは別として、私は彼らに全部話した。





私の世界で、この世界の事は、お話として存在する事。
漫画って言っても、分からないだろうしね。

だから、もう少し先まで私は知ってる事。
でも、最終的な結果は知らない事。

何故かは分からないけど、その世界からここへ飛ばされた事。
そして、落ちた場所が赤髪海賊団の船の上だった事。
だから今、彼らと行動を共にしている事。





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さぁ・・・この人達は、どう思うんだろう・・・



何か今の私、自分でも余裕あるなぁって思う。

そりゃあ、信じてくれたら嬉しいけど、たとえ信じてくれなくても、
私には、シャンクス達がいる。彼らは信じてくれた。それだけで十分。

今更ながら、そう思ってる自分に気付く。










「「すっげぇ〜〜〜!」」

っ!?・・・び、びっくりした・・・

目をキラキラ光らせて、私を見ているルフィとチョッパー・・・
そうだった・・・君達は純粋だった・・・疑われるわけがなかったね。



「レディ、貴女のお名前を教えていただけますか?」

へ?・・・あ、サンジ・・・?

「・・・です。」

「おぉ!!・・・何て素敵な響きなんだ。」

はぁ?

「異世界からの来訪者。これはきっと、2人を出会わせる為の運命の悪戯・・・」

おいおい・・・帰って来いよ、サンジ・・・
これか・・・サンジお得意のリップサービス・・・凄いねぇ・・・



「お前ら、信じられるか?」
「う〜ん・・・」
「でもよ、こんな嘘はつかねぇんじゃねぇか、普通。」
「それに、本当なら全て辻褄も合うわ。」
「そうよね・・・」
「嘘をついてるようにも、見えねぇしな。」

一応常識人4人は、会議中らしい。



でも・・・頭から『うそだ、信じられない』と言う人は、いないんだね・・・



あ、そういえば・・・

「ルフィ!」
「ん?」
「私に何か聞きたかったんじゃないの?」
「おう!」

手をポンと叩き、私の前まで来て、

「シャンクス、元気か?」

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そっかぁ、なるほどね、そういう事か・・・ルフィらしいや。

「元気だよ。ず〜っと先で、ルフィが追いついて来るのを待ってるよ。」
「そうか!」

すっごく嬉しそうなルフィの顔に、私も嬉しくなる。

「あ、あのよ・・・」

ん?ウソップ?・・・あ、そっか。

「ヤソップも元気だよ。」
「ホントか?」
「うん!」
「そうか・・・元気か・・・元気で海賊やってんだな、親父も・・・」
「ウソップ!」
「え?」
「親父を越えろよ!」
「っ!!・・・おう!!!」

良い笑顔だね〜ウソップ。ふふん、帰ったらヤソップに発破かけとこ♪



ルフィとウソップの嬉しそうな笑顔に、他のクルー達も優しく笑ってる。
やっぱり良いね〜、この麦わら海賊団も!










「おい、!」

下から声がする。・・・いけね、忘れてた。

「すぐ戻る!・・・それじゃ皆、私らはそろそろ行くね。」
「え〜〜〜っ!〜〜〜もう行っちゃうのかぁ?」
「うん、ごめんね〜」

そう言いながら、船の手摺を飛び越える。

「うわっ!!」

うちのクルー、3人がかりでナイスキャッチ!

「「「無茶するんじゃねぇ!」」」

「ごめんなさい♪」
「・・・反省してねぇな・・・」










〜〜〜!!!」

走り出した私らの船に向かって、ルフィが叫ぶ。振り返ったら、

「また会えるよな〜?」

そんな声が届いてくる。

「縁があったらね〜〜〜」

「おう!絶対ある!!!」

・・・言い切られちゃったよ・・・





小さくなっていくゴーイングメリー号。そのクルー達。

きっとまた会える・・・そんな気がするよ。










ここまで読んで下さって、ありがとうございました〜!
本編の5話目でございます。
やっと、麦わら海賊団と出会いました!出会っただけですけど(爆)
前半は・・・もうどうしようもなく過保護ですよね〜赤髪海賊団の連中は(笑)
ちょっと設定に色々と無理があると思いますけど、どうぞ見逃してやって下さいませ(^^;)
じゃないと、ルフィ達と出会えないもので・・・
これから先も、かなり無理がある設定になっていきますので、見逃してくださる優しい方だけお付き合い下さいませ。