【 偶然の中の必然 〜 仲間 〜 】





緑の町エルマル。

今からここを出て、半日かけてユバへと向かう。
でも、ユバにはもう、反乱軍はいない。コーザはいない・・・

彼らは、本拠地を『ユバ』から『カトレア』に変えているはず。





それを・・・彼らに伝えるべき?





ううん、ダメだ。確かに今の私達の目的は、反乱軍を止める事だけど、
最終的には、クロコダイルを倒す事になる。

だから、ここで彼らを止めてはいけない。

ビビの為にも、そしてルフィの為にも、ユバに行く事は必要。





よしっ!そうと決めたら、この砂漠を歩かなきゃいけないのよね。

・・・体力もつかな・・・










あ、あっつう・・・

砂漠を歩いた経験なんてないけど、これは予想以上だわ。

ちゃん、大丈夫かい?」
「うん・・・大丈夫。ありがとうサンジ。」
「どうしても辛くなったら、俺に言って♪」
「・・・わ、分かった。」

妙に嬉しそうなサンジ・・・一体何をする気なんだ?

でもこれは、絶対に聞いちゃいけない・・・うん、ダメ。
無駄に体力を消耗するだけだわ、きっと・・・


「おい、。」
「何、ゾロ・・・?」
「チョッパーと一緒に後ろ乗るか?」
「え?」
「あ、。俺代わろうか?」

私・・・そこまで限界のような顔してるの?

「まだ大丈夫。どうしようもなくなったら、乗せてね。」
「ああ、無理すんなよ。」
「了解!」
・・・ホントに平気か?」

そ、そんな顔で見つめないでよ、チョッパー・・・
すっごく可愛いんだから!本当ならギュッと抱き締めたいけど・・・

暑いからやめとこ。

「うん平気。ありがとうチョッパー。」
「うん・・・」

「ダメだよちゃん、辛くなったら俺に言ってくれなきゃ!」
「・・・サンジ?」
「そんなのに乗らなくても、俺がちゃ〜んと抱っこして連れて行ってあげるからね!」



・・・やっぱりそうくるか・・・















お 〜 お 〜 お 〜 お 〜 ・・・やっぱ凄いね、この3人は。

ルフィが盗まれた皆の荷物を追い掛けて行って、
ラクダと一緒に、サンドラ大トカゲを連れて帰ってきた。

・・・ホントにこいつは・・・

そういえば、この3人の戦闘を見るのは初めてだわ。
これも戦闘って言うなら・・・だけど。

んで、そのサンドラ大トカゲは今、私達の食料になっている。


うん、結構美味しい。





「さあ、、ビビ、後ろに乗って!」

既にラクダに乗っているナミが、私とビビを急かす。



・・・本気なのね、ナミ・・・



さん、真ん中に乗って。」

ビビが苦笑しながらも私を先に乗せて、自分も。



ああ・・・男性陣よ、許せ・・・










「ナミさん、待って!皆が来ないわ。」
「だらしないわねぇ。」

・・・こらこら。

「確かルフィが、幻覚作用のある変な物食べて、チョッパーに麻酔打たれたはず・・・」

「「 はぁ?? 」」

ラクダの上に女3人。男性陣を待ちながら、おそらく今頃は・・・と話す内容に、
ナミは頭を抱え、ビビは吹き出す。



「あ・・・来た!」
「あらホント・・・じゃあ、そろそろ行く?」
「ナミ・・・合流してあげなさい・・・」
「あら、ん〜〜〜まぁ、がそう言うんじゃ仕方ないわね。」
「ナミさん・・・」















・・・さむっ!

夜になったと思ったら、昼間の暑さが嘘のように冷え込んできた。



そろそろ着くのよね、ユバに・・・砂嵐に襲われてるユバに・・・



「うそ・・・」

目の前には、変わり果てたユバの街。そして、トトおじさん。
反乱軍の本拠地が、ここからカトレアに移ったと聞いて、愕然としてる皆。



そして・・・



「反乱はきっと止めるから。」

そう言いながら、笑うビビ・・・その笑顔がツライよ、ビビ・・・





枕投げ大会が始まった部屋を抜け出して、外へ出てみる。
あっち側には、ルフィとトトおじさんがいるはずだから、反対側へ。





・・・ここに居たのね。」
「ナミ?仮眠取らなきゃダメじゃない。」
「人の事言えるの?」

ニヤッと笑ったナミに肩を竦める。全く・・・ごもっともです。

「知ってたんでしょう?」
「・・・え?」

突然のナミの言葉に、首を傾げる。
一体・・・何の話?

「ここに、反乱軍がいないって事。」
「っ!?」
「エルマルを出る時、様子が変だったもの。でも何も言わなかった・・・どうして?」

真っ直ぐに私を見つめるナミ。でも、その瞳に責めてる色はない。
参ったな〜、そんな風に聞かれたら、答えるしかないじゃない。

「必要だったのよ。ビビには・・・ね。」
「ビビに?」
「そう。彼女はまだ、1人で戦ってるから・・・」
「・・・・・」
「仲間という存在を、本当の意味で気付かせる為にね。」
「・・・そっか。」
「うん。決して1人じゃないからね、ビビは・・・」



「そういう事か。」



「っ!?・・・ゾロ?」



お願いだから・・・闇夜に潜むのはやめて・・・
しかも、毎回突然背後から声をかけるんだから・・・心臓に悪いったら!

「あんた・・・いつから聞いてたのよ?」
「ん〜・・・さぁな。」

ニヤッと笑うゾロに確信する。全部聞いてたな、こいつ・・・

「ゾロも気付いてたんだ。」
「まぁな。お前、顔に出すぎ。」

うっ!・・・そ、そんなに顔に出てたのかなぁ・・・

「けどな、なんか疑う気にならねぇんだよな、お前。」
「あ、それ私も!」

そうだよね・・・反乱軍がいないのを知ってて、黙ってたんだもん。
疑われても仕方ない。だって・・・すごい時間のロスだもの。なのに・・・

「・・・何で?」

「「 さぁ?? 」」

・・・さぁって・・・

「理屈じゃないって事よ。だって、も仲間でしょ?」

ナミが綺麗にウインクを決める。

・・・やられた・・・

「・・・ありがと。」

くるりと背中を向けた私の耳に、くすくす笑うナミの声が聞こえてくる。
絶対、ゾロもニヤニヤ笑ってるんだろうなぁ・・・悔しい・・・















翌日、ユバの水をルフィが貰った。
これでルフィに必要だった事も。



・・・そして・・・



目の前で繰り広げられている、ビビとルフィの喧嘩。



「これ・・・だったのね?」

私に小さく耳打ちするナミに、コクンと頷く。

「それに、クロコダイルを倒さない限り、反乱も止まらないの。」
「・・・どうして?」
「反乱軍にも、そして国王軍の中にも、入り込んでいるからね。」
「そういう事・・・か。」
「うん・・・」






「俺達の命くらい一緒に賭けてみろ!!!仲間だろうが!!!」






ルフィの声が響く。そして、初めて見るビビの涙・・・






ナミと顔を見合わせ、ビビに近付いてそっと抱き締める。

どうしてもこれが必要だったの。
ビビに『1人で戦ってるんじゃない』って気付かせる為には。
あなたには、皆が・・・こんなに頼もしい仲間がいるんだからね。










そして私達は向かう。レインベースへ・・・この砂漠の中を・・・










・・・やっぱり、暑いものは暑いのよ〜!

「おい。」
「ん?」
「乗れ!」
「・・・は?」

ゾロが指差す先にあるものは・・・昨日チョッパーが乗ってたヤツ?
ふむ・・・今日はチョッパーは頑張るらしいし、
お言葉に甘えさせてもらおうかな〜

このままじゃ、レインベースに着いてからが、ヤバイわ・・・










ここまで読んで下さって、ありがとうございました!
そして・・・アップ作業してる途中で気付いたのですが・・・
今回のお話に・・・ウソップが出てきてない〜〜〜〜〜(爆)
麦わら海賊団の中で、彼だけが今回出演しておりません・・・が、一緒にいますので!(^^;)
この先は、もっとネタバレになりますので、それでも構わない方だけ読んでやって下さいませ。