【 偶然の中の必然 〜戦闘〜 】





ドッカーーーン!!!





だわぁっ!な、何事?地震!?

いや、ここは海の上なんだから、地震はないか・・・って事は、
何処かに海底火山でもあったのかな?



!大丈夫か?」

へ?シャンクス?

「うん、平気。海底火山でも爆発した?」

私がそう言うと、ホッとした表情をして、すぐにニヤッと笑う。

・・・な、何?

「まあいいから、ちょっと来い。」

何処に行くんだろうと思いつつ、ついて行くと・・・
甲板へと出てきた。
そこには、ベックマンやルウ、ヤソップもいた。

皆、何やってるんだろう?



ドォォォン!!!



「うわっ!」

出て来た途端、大きな音がして船が揺れる。揺れたらバランスを崩す。んで、倒れる〜!

・・・前に、ベックマンが私の身体を支えてくれた。

「あ、ありがとう、ベックマン。」

ベックマンの腕にしがみ付きながら、シャンクスの視線の先を追うと・・・

「船?」
「ああ、海賊船だ。」
「どこの?」
「知らん。」

何だそりゃ。

確かにあの海賊旗は見た事ない・・・と、思う。
って事は、どこかの小物の海賊が、この船を見付けて、
『赤髪のシャンクスの船だ!首を取って名を上げろ!』ってな感じなのか?

うわぁ・・・無謀・・・

!」
「何?」
「俺達はな、こっちから仕掛けたりはしねぇが・・・」
「うん、知ってる。」
「海の上で、こういう売り方をされちゃあ・・・買うぜ!」

・・・・・そうだろうねぇ・・・・・










海賊船が近付いてきて・・・いや、こっちが近付いて行ったのか?
今、目の前で繰り広げられている、戦闘・・・
剣やら、斧やら、銃やらが飛び交う。



・・・・・怖い・・・・・



私の右側にはシャンクス、左側にはベックマンがいるから、
怪我をするとか、そんな事は一切心配してない。
何があったって、何が来たって守ってくれる。信じてる・・・けど・・・

「えっ?」

急に目の前が真っ暗になる。な、何で??? あ・・・

シャンクスの黒いマントかぁ・・・

無意識に、シャンクスのシャツを掴んでいた私を、
包み込むように、黒いマントが私の視界を遮る。

「怖けりゃ見なくていい。」

シャンクス・・・



確かに怖いよ、見たくなんかない。
人と人が切り合う所なんか、撃ち合う所なんか見たくない。でも・・・

皆が戦ってるのに、私だけが目を逸らすの?ただ彼らに守られて?
守られてる事すら直視せずに?それで・・・いいの?



「・・・やだ・・・」
?」
シャンクスのマントを掴んで、顔だけを出す。
怖いけど・・・身体は震えてるけど・・・それでも!

「見てる。」
「・・・そうか。」

シャンクスは、それ以上何も言わなかった。ベックマンも黙ったまま。
私も何も言わず、ただ見つめていた・・・










結果は、当然の事ながら、圧倒的な勝利!
奴らが持っていた宝なんかを手に入れて、皆ご機嫌だ。宴会だな、今夜は。

だけど・・・だけど・・・私は、見てる事しか出来なかった自分が、歯痒いよ・・・

そして、私は決心した!



・・・シャンクスに怒られるかなぁ・・・



夜、宴会を始めた皆の間を通り、1人の男に近付く。

「ヤソップ!」
「ん?どうした、?」

ヤソップの隣に座って、真っ直ぐ目を見ながら、真剣に言う。

「私の銃の撃ち方を教えて!」

「ああ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ど、どうして、こんなに静まり返るわけ?何で皆、黙っちゃうの?
って言うか・・・背中にものすごい冷気を感じるのですが・・・

・・・お前今、何つった?」

その背中から声がする・・・シャ、シャンクスさん?

恐る恐る振り返ると・・・こ、恐い・・・

何でそんなに怒ってるのよ〜〜〜!?!?!?





そりゃあ多少は怒られると思ってたけど、ここまでとは・・・





私は今、シャンクスの前に立たされている。
う〜ん・・・先生に怒られてる生徒の気分だ・・・

でも、シャンクスから顔を背けたりはしない。出来ない・・・しちゃいけない・・・

「銃ってのはな、遊び感覚で持つもんじゃねぇ。」
「遊びじゃない!」
「じゃあ、命賭ける覚悟あんのか!!!」

っ!!!・・・命を賭ける覚悟・・・そんなの分からない・・・

「でも・・・自分の身くらい、自分で守れるようになりたいよ・・・」
「だったら・・・」
「それに!守られてるだけなんて嫌!私だって皆を守りたい!」

涙が溢れそうになるけど、泣いちゃいけない・・・ここで泣くのは卑怯だ!



「・・・はぁ・・・」

ぐっと涙を堪える私の頭上から溜め息・・・ベックマン?

「殺し文句だな。」

へ?・・・な、何が?

見上げると、苦笑いを浮かべたベックマンと目が合う。
そして、シャンクスに視線を戻すと・・・頭を抱えていらっしゃる。何で?

「絶対に・・・無茶すんじゃねぇぞ。」

って事は・・・

「シャンクス!ありがとう!!!」

思わず抱き付いた私を抱き返しながら、聞こえてきた大〜きな溜め息は、
しっかり聞こえない振りを、決め込ませて頂きます。










「どれがいい?」

私の目の前に置かれた、たくさんの銃。

ベックマンが使っているような長銃から、ヤソップやルウが使っているような銃まであるけど、
・・・私には、どれも扱えないと思う。

「無理だよヤソップ。どれも重い・・・」

私には、体力も無ければ、腕力もない。こんなに重い物は扱えない。
今から鍛えると言っても・・・ねぇ・・・
銃って、こんなに重かったんだ・・・あ〜あ・・・無理かなぁ・・・



「合格だ。」
「え?」



肩を落とす私の頭を、ヤソップがくしゃっと撫でる。

・・・合格・・・?

「自分の力量も分からねぇ奴には、教えられねぇからな。」

そう言いながら、再び私の前に銃が並べられる。
今度のは・・・短銃?

・・・ヤソップも、十分意地悪だ・・・





その短銃を1つ1つ持ってみる。
短銃といっても、重い物から軽い物まで色々ある。形も様々だ。

その中の1つを持った時、驚いた。

それまでのと違って、手にしっくりきたから・・・

「それか?」

ヤソップの問い掛けに、コクリと頷く。

「よし!それ持って表出な。教えてやるからよ!」
「うん!」

・・・・・ちょっと待て、今から?・・・酔ってるな、ヤソップ・・・・・










そして次の日から、ヤソップの『銃の撃ち方教室』が始まった。
んで何故か、シャンクスの『剣の使い方教室』も・・・

シャンクス曰く、

「銃を持っていなかった時でも、その辺に棒1本ありゃあ、いいからな。」

との事。確かに・・・納得。
まぁ、ただの暇潰しかもしれないけど、教えてくれると言うのだから、教わっておこう。



ただね・・・どっちもスパルタ教師なのよぉ!!!
只今思いっきりの筋肉痛・・・身体中が痛いよぉ!

この筋肉痛が治る頃には、少しは上達してるのかな。ちょっと心配だけど・・・

私だって大切な人達を守れるようになりたいから・・・頑張ろ〜っと!










ここまで読んで下さってありがとうございました〜!
少々補足をしなければって事で(笑)
え〜この世界に短銃があるのか?って思われる方もいるかもしれませんが・・・
『あるんだ!』って思ってください(爆)
普通の女性のヒロインちゃんに、皆が持ってるような銃は扱えないと思うんですよね〜
って事で、宜しくお願いします♪