【 魂の記憶 B 】 シャーマンファイト本戦。 一応、集合場所とやらに連れて来られたんだけど・・・ハオが消えた・・・ 「カナ〜!」 「はい?」 「ハオは?」 「あそこに。」 言葉と共に伸びた指先を辿ると・・・あ、葉達だ。ご挨拶中って事ですか。 「でも、そろそろ時間なんだけどなぁ・・・」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・??? 何やら視線を感じるんだけど・・・ 「何、カナ?」 「私・・・様に名乗りました?」 「え?聞いてないと思うけど・・・間違ってた?」 「いえ・・・」 「じゃあ、私は?」 カナの横から、ひょっこり出てくるその顔も、当然私には分かる。 「・・・マッチ。」 「わぁ!当たり!」 何なんだ、一体・・・ ハオに教えてもらったとか思わないのかな? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ だぁ!後ろから無言の圧力をかけるなぁ!!! 「何か言いたい事でもあるのかな、マリ?」 振り返りながら尋ねると、驚いたような顔をしてから、少し下を向きつつ視線を下げ、ほのかに笑った。 「マリ・・・ちょっと嬉しい。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・何が? 「様。」 「何、オパチョ?」 「ハオ様、そろそろ迎えに行く。」 だよね〜。そろそろ戻らないと、飛行機来ちゃうよ。 「行こうか。」 「うん!」 それ・・・と。 「カナ、マッチ、マリ、行くよ!」 「「「 はい! 」」」 ・・・何だか、妙な気分だよ・・・ パッチジャンボの中。私の横はオパチョとブロッケン。日本を発ってそろそろ10時間くらいらしい・・・ はぁ・・・退屈だ・・・眠くなってきた・・・ 「、寝るなよ。」 後ろからハオの声。でも、眠いものは眠いんだよ〜〜〜 「様、寝るのダメ。時間ない。」 オパチョが横から私の肩を揺らす。 「後3秒で、ゴルドバ出てくる。」 「あ、そうなの?・・・って、出てきた。」 う〜ん・・・オパチョの予知能力って凄いよね。 3ヶ月以内に、何処にあるのか分からないパッチ村を探し出し、辿り着く事。 これが第1試練。 500年前の転生の時にパッチだったハオ。当然場所は知ってる・・・んだよね? そう思いながら後ろを見ると、にっこり笑って頷くハオ。 と、ほぼ同時に消えるパッチジャンボ。 ゲッ! 「うわっ!!?」 お 〜 〜 〜 ち 〜 〜 〜 る 〜 〜 〜 ! ! ! ドサッ ん?・・・あ、ハオ・・・と、スピリットオブファイアと、ハオ組の皆。 「・・・1人で勝手に先に落ちないでくれ。」 私だって、好きで落ちたわけじゃないよ! ・・・と、あれっ葉達だ〜ホロホロもいるじゃん。落ちるの早いぞ・・・ 「ん?ああ、本当だ。」 へ?・・・って、わざわざホロホロんトコ行って、挑発しなくてもいいじゃない・・・ 大丈夫だって事は分かってるけど、気をつけろよ〜。また、パッチ村で会おうね〜 「、声に出さないと、彼らには聞こえないよ?」 「・・・声に出しても聞こえないって・・・」 う〜ん・・・ちょっと冷静になってくると、この状態怖いんですけど・・・ だって、いくらスピリットオブファイアの上に乗ってると言っても、ただ乗ってるだけなんだよ。 風に吹き飛ばされそうだし、滑って落ちそうだし・・・本気で怖い。 「、おいで。」 ちょっと離れた所に座ってるハオが手招きしてるけど、無理です。動けません。 「様、ハオ様呼んでる。」 分かってる。分かってるんだよ、オパチョ。でもね・・・動けないんだよ・・・ 黙って頭を横に振る私を、不思議そうに見上げてくる。 「あ、ハオ様。」 え? 「仕方ないなぁ、は。」 「ハオ?・・・って、何!?」 いきなり身体が浮いたと思ったら、私はハオの膝の上。後ろから抱き締められてる状態になってた。 これって・・・すっごく恥ずかしいんですけど・・・ 「これで怖くないだろ?」 確かに怖くないけど・・・ないけど!でもやっぱりこれはぁ!!! 「大丈夫。誰も気にしてないから。」 あ、あのねぇ・・・ 「私が気にするの!」 「落ちそうで怖いよりいいだろ?」 「うっ・・・」 それを言われると・・・しっかりバレているだけに・・・何も言えない・・・ 早く地面に着いてほしいよ・・・ 「さて・・・僕はちょっと用があって出掛けるけど、大人しく待ってるんだよ、。」 私は子供か・・・と思いつつも、まぁ一応、 「行ってらっしゃい。」 と応え手を振る。優しく笑ったハオの姿が見えなくなってから見回すと・・・ここ、何処? 遺跡か何か・・・かな。結構古そうだし。 「あ、様!」 「カナ?」 「それ以上は・・・」 「え?」 これ以上先に行くなって事みたいだけど、この遺跡って結構広そうだから、探検したかったんだけどな。 「向こうには観光客もおります。ハオ様がおられない時に様に何かありましたら・・・」 う〜ん・・・そんなに大した事ないって言うか、私に何かあったらハオが瞬時に戻って来そうだけど、 ま、カナ達に心配かけるのも悪いしね。 「じゃあ、カナ、マッチ、マリ、遊んでよ。」 ニヤリと笑ってそう言うと、 「喜んで!」 嬉しそうに笑いながら元気に返事するマッチと、これまた嬉しそうに頷くマリ。 あんた達・・・可愛いわ・・・ 女が4人も集まれば、当然話は尽きない。まぁ、カナやマリは殆ど聞いてるだけだったけど。 気が付けば、もうすっかり夜も更けて・・・3人に『おやすみ』と告げて自分の寝床に戻る。 ・・・と、ありゃ、ハオ戻ってたんだ。・・・ん? 「様!・・・ハオ様、血・・・」 ハオの額から流れる血。ふ〜ん・・・アンナか・・・ 「呪詛返し・・・」 「そういう事。」 オロオロしてるオパチョを横目にハオに近付き、傷を見る。 私に医学の知識なんてないからよく分からないけど、大丈夫そう・・・かな。 もう殆ど血も止まってるし。 「が舐めてくれたら、すぐに治ると思うんだけどな。」 こいつ・・・ 「嫌。」 ・・・いない・・・ ターバイン、ザンチン、ビッグガイ、ボリス、ダマヤジ。彼ら5人の姿が見えない。 ついでに・・・ ハオとオパチョの姿も見えない。 彼らがそれぞれ何処に行ったのかは大体分かるけど、人にはここを動くなって言っといて・・・ 「・・・様?」 「・・・何、マッチ?」 「あの・・・怒ってます?」 「別に。」 少々逃げ腰のマッチの横から、マリがボソッと、 「うそ。様怒ってる。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・はぁ・・・ 「怒ってるわけじゃないよ。ちょっとムカついてるだけ。」 何に対してか・・・は、今は考えない事にする。ただ・・・ボリスとダマヤジはもう戻って来ない・・・ 知ってても、何も出来ないものなんだな・・・ ちょっと、頭冷やして来ようかな。 「様、何処へ?」 「ちょっと散歩してくる。」 「「「 ダ メ ! ! ! 」」」 ・・・いつの間にカナまで混ざってんのよ・・・ 「大丈夫よ、その辺をちょっと歩いてくるだけだから。」 「様!」 「駄目じゃないか、そんな風に困らせちゃ。」 ハオ・・・と、オパチョ。 「おかえり。・・・右頬、赤くなってるよ。」 「ああ・・・それで機嫌が悪いのかい?」 クスッと笑うハオに、本気でムカツク! 「別に。私には関係ないし。」 「ふ〜ん・・・」 そう、ハオが誰を口説こうと、私には関係ない。 「・・・どいてよ。」 私の目の前に立ち塞がるハオを、睨み付けながら言う。 まぁ効果なんてないだろうけど、ちょっと今は離れたい。 「許さないよ。」 「何っ・・・って、痛い!」 いきなり手首を掴まれる。 「やっと見付けたんだ。1000年も掛かったんだよ、僕から離れる事は許さない。」 「何の話よ!ちょっと本当に痛いってば!離してよ!」 何度、『痛い』『離せ』と言っても、ハオの手の力はちっとも緩まない。一体何なのよ!!! 「・・・もう、二度と離さない・・・」 ・・・ハオ・・・? |