【 魂の記憶 C 】





「行くよ、。」
「何処へ?」
「パッチ村。」

すっかり忘れてたけど、3ヶ月以内にパッチ村へ入る事が、第1試練だったっけ。

「ビッグガイも戻ってきたし、そろそろ出発しよう。」
「・・・うん・・・」



結局・・・ボリスとダマヤジは戻って来なかったな・・・















パッチ村へ入った途端、周囲からざわめきが起こる。
まぁ仕方ないか『このファイト最悪の大本命』とか言われてるんだもんね。



これから始まるトーナメントは、3対3のチーム制。人数があぶれた場合は、その場で失格・・・か。

は僕と同じチームだからね。」

ハオと同じチームねぇ・・・
そりゃあ、全然戦う必要なんてないだろうけど・・・でも・・・

「私、チームには入らないよ。」

様!?」
「一体何を・・・」
「それでは失格になります。」

マッチ、ラキスト、ダーマインの声に肩を竦める。
でもねぇ・・・私は元々シャーマンキングにもグレートスピリッツにも興味ないし、そもそも持霊もいない。
巫力はとんでもなく高いみたいだけど、戦い方も知らないし、戦うつもりもない。
それに、なんとなく気付いてる・・・ハオは私の事を、戦わせたいから傍に置いてるんじゃない。他に何か・・・

「トーナメントは参加者以外も観戦出来るんでしょ?」
「ああ。」
「なら、いいよね?」
「構わないよ。」

「「「「「ハオ様!?」」」」」

笑って頷くハオに、驚きの視線が集まる。

様。」
「オパチョ?」

目線をオパチョに合わせる為、しゃがんでみる。

「オパチョ出る。様見てる。」
「うん。見てるから頑張ってね。」
「オパチョ、ばんがる!」

頭を撫でると、嬉しそうに見上げてくる。きっと気付いてるのは、オパチョとラキストだけだろう。



そんな気がする・・・



結局、ハオ率いる星組は、オパチョとラキストになった。




















2ヶ月後、私達は再び東京に戻って来た。今度は無人島らしいけど。

「・・・さん。」

後ろから声を掛けられ、振り返ると・・・パッチ族?ってか、

「シルバ?」

他の皆が私を守るような配置をとる。

に何の用だい?」

私の肩に手を置きながら尋ねるハオを睨み付けながら、

「お前には関係ない!」

「「「「「「「 なんだと! 」」」」」」」

・・・シルバって、結構不器用だよね、色んな意味で。

「何?」
「少し話があるんだが・・・」

この状況でねぇ・・・しかもハオ組の1人だと思ってるだろう私に話・・・ね。仕方ない。

「ちょっと行ってくるね。」
「ああ。」



「「「 様!? 」」」



「「「 ハオ様!? 」」」



「オパチョ、行く。」

おいおい・・・君はここで待ってなさいね。















「・・・で、話って何?」

とりあえず、視界には捉えられるが、声は聞こえないって程度まで離れてから話し掛けてみる。

「君は、何故トーナメントに参加しないんだ?このままでは失格だぞ。」

・・・・・・・・・・は?


「いきなり・・・何?」
「君は、このシャーマンファイトに参加するべきだ。」
「はぁ???」
「それが、グレートスピリッツの意思だ。」

・・・なんだそりゃ・・・

「シルバも知ってるんでしょ。私に戦えるわけがないじゃない、持霊もいないのに。」
「しかし・・・」
「そもそも、私がシャーマンファイトに参加してる事自体がおかしいのよ。」

このオラクルベルを持ってる事自体が、どうにも引っ掛って仕方がない。
それに・・・グレートスピリッツの意思って何?そんなのに従ってやる義理なんてない。私はそんなモン欲しくない。

「それは・・・君が・・・」
「私が?」
「グレートスピリッツに愛されてる存在だからだ。」





・・・・・・・・・・はぁ???





『兎に角、考え直してくれ』と言って、シルバは戻って行ったけど、何だったんだ今のは・・・

私がグレートスピリッツに愛されてる存在?この世界の人間じゃないのに?



「どういう事?」



真後ろまで近付いてたハオに聞いてみる。

「何が?」

・・・聞いてたくせに、ま〜だとぼけるつもり?

「ハオ?」

声を低くして睨むように見上げるけど、ハオは笑ったまま。

「あいつの言葉通りさ。」

それじゃ、意味が分からないから聞いてるんじゃない。

「だから僕は・・・」
「え?」





「どうしても、グレートスピリッツを手に入れなければいけないんだ。」





全然・・・全く・・・意味が・・・分からない・・・

頭を抱えてる私を、何とも言えない複雑な表情で見下ろして、

「で、はトーナメントに出るかい?」
「出ない!」
「そうか・・・グレートスピリッツは相変わらず片思いなんだね。」
「・・・はぁ???」

間髪入れず返した私に、ハオが楽しそうに笑いながら言う。だ〜か〜ら〜〜〜一体何なのよ!!!



















トーナメントの対戦表が発表された。前日まで、パッチ族の連中が私に参加を求めてきた。

真剣に・・・うっとおしかった・・・

ハオはハオで、楽しそうに眺めてるだけだし・・・
どうも彼は、私がパッチ族って言うか、グレートスピリッツを無下にするのが、嬉しいらしい。
ハオはグレートスピリッツを求めてるはずなのに・・・何故?まるで、憎んでいるようにも見える・・・



なんだろう・・・何かが引っ掛かる・・・



。」
「ん?」
「そろそろ行くよ。」
「うん・・・」

トーナメント第1試合は、土組対チームTHE蓮。

ペヨーテ達が戦う事になってるから、行きたいんだけど・・・う〜ん・・・
今から行かないと、試合には間に合わない。それは分かってるんだけど、どうにも身体が動かない。

「・・・・・そうか。」
「ハオ?」
「それじゃ、僕達は行って来るけど、は大人しく寝てるんだよ。」



・・・え?



私の身体に何が起こってるのか、全て分かっているかのようなハオ。

普通なら、こんな時には傍に居て欲しいって思うんだけど、何故か今は思わない。
それどころか、1人にしてほしい。誰にも居てほしくない。

私・・・一体・・・?










全員が出て行ったのを見届けてから、私は深い眠りに落ちた。










深く・・・どこまでも深く・・・










グレートスピリッツの意思も届かない程・・・深く・・・










そして、目の前に広がった世界。見た事ないはずなのに、何故か懐かしい。

これは夢?それとも・・・記憶?



魂の・・・記憶?